このレビューはネタバレを含みます
最初は一体なんの話なのか全く分からずに進む。
職業訓練所で指導しているオジサンのところの預かりを打診してきた少年に、何故か並々ならぬ関心がある様子。
ずっとそんな様子だけ観せられてぼーっとしてきたところで、この少年が自分の息子を殺し、妻と離婚する切っ掛けの一つになったらしき話が見えてくる。
なるほどそれは殺したいほど憎いだろう、と。
実際に、事実を知った元妻は激しく激昂する。
指導員として見る姿勢、チラつく息子の影、更生し新たな生活を送ろうとする眼の前の少年。
父と息子、母と息子、それぞれ別の関係性があるんじゃないかなぁ。
なんと言ってもお腹の中で育てて産むのは母親の方だし。
残念ながらわたしは父親でも母親でもないし息子を失ったこともない。
身内を殺した人間と相対したこともない。
だからどれほどの想いや苦しみの中で少年を見つめたのだろうかと想像する事しか出来ないのだけれども、揺れ動く主人公オリヴィエの、一瞬の殺意の表情なんかは秀逸だったなあと思う。