Hideko

地平線の彼方のHidekoのネタバレレビュー・内容・結末

地平線の彼方(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

原題: Le milieu de l'horizon
英題: Beyond the Horizon

2022年 MyFFF出品作品。

干ばつに襲われたスイスのとある村の一夏を少年(ギュス)を中心に描いた物語。

ギュスにとっては実に出来事てんこ盛りの一夏だったですね。水不足から来る苦境がこれでもか!と村全体を苦しめ、サボりたい気持ちもありながらもきちんと家業を手伝う毎日。そんな彼も思春期に差し掛かりごく自然に女性に興味を抱き…。

そんな中、母親とその女友だちが関係を持っていることを偶然目撃してしまい一時ひねるも、不貞腐れてばかりもいられず淡々と毎日のノルマをこなす彼。母親はレズビアンだったわ、姉のディープキスシーンを目撃するわ…。そりゃ彼も悶々としますよね。そんな彼にも女の子と戯れる機会が訪れます。

結局母親は家を出てしまうのですが、ギュスも色々経験して大人の階段を数段登ったのでしょうか…オーケストラでバイオリン担当の姉のコンサート会場で、戻っていた母親とハグします。うーむ、それにしても父親や従兄弟のことを考えると自分ならあそこでハグは無いな、と。

そうです、可哀想なのは…まあ、母親の情事の犠牲者である家族全員なわけですが、母親にも自分の人生を生きる権利はあるのですよねぇ。自らの幸せを優先した母親に対して、家族全員、特に父親や家族を手伝っている従兄弟にも幸せになって頂きたい。

水不足から一転、待ち焦がれていた雨が降ったことによる鶏の末期的な被害、自ら他人の敷地を最期の地に選びそこから出ようとしない馬…枯れ切った農作物に今更ながら水を供給しに来た行政…これらのシーンで父親の選んだこの生き方の過酷さを見事に描き切っていた点はとても素晴らしいですね。

少年ギュスはこの一夏でかなり成長したわけですが母親との和解まで進むのは少し早すぎる気がして、不自然さを感じずにはいられませんでした。まあ、いつまでも駄々を捏ねる子どもではあの地で生きていけないのかも知れませんが和解には少なくともあと数年かかるとして「◯年後…」とするとか、もう少し尺を取るとかした方が自然で、あそこまでコンパクトにまとめる必要はなかったのではないかと…。

一年前に見逃していた作品を、本年度のMyFFF開始後に気付き、本日の鑑賞となりました😅
Hideko

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