「暖流」
冒頭、病院の屋上での自殺事件。ワンステージとモデル、退職金、親父の遺産、相続税、令嬢の節子、留学からの帰国、医師との婚約、院長の死。今、ヒロインを体現する名台詞がここにある…本作は岸田国士の同名小説の再映画化で前作は吉村公三郎監督が務め、今回は白坂依志夫が脚色し、増村保造が監督した一九五六年版である。この度DVDにて初鑑賞したが面白い。小説の中身を現代風にアレンジしており、経営の傾いた病院を立て直すために乗り込んできた主人公をめぐる二人の女性が対照的に描かれていたが、増村版では看護婦に大きく焦点を当て欲望に忠実な女性の生の姿を鮮烈に描いている。
さて、物語は日疋祐三 は恩師の頼みで破産しかかっている病院を立て直しにやってくる。少女だった令嬢の節子は留学から帰国し、医師と婚約していた。日疋祐三は石渡と言う看護婦に興味を持ち、彼女もに日疋に病院の内情を報告することを約束する。院長の死をきっかけに乗っ取り派が台頭するが、彼の活躍でかろうじて食い止めた。彼女の彼に寄せる愛情は大きくなっていたが彼は節子を愛していたのだった。
いやーカメラ位置から構図までが完璧すぎて逆に笑う。スピード感が半端ない増村安定の素晴らしい初期の名作である。幸せいっぱいのサイコパス映画見たい方にはぜひともお勧めする。
