KKMX

ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロックのKKMXのレビュー・感想・評価

3.5
 60〜70年代の西海岸フォークロックの聖地というか、ミュージシャンがたくさん住んでいたローレル・キャニオンをテーマとしたドキュメンタリー。
 俺は60〜70年代のフォークロックが嫌いなのですが、ディランやジョニ・ミッチェルは大好きだし、21世紀だとフリート・フォキシーズとか所謂インディ・フォークはかなり好物です。また、めちゃくちゃ尊敬するR.E.Mや天才ジョニー・マーがザ・バーズからの影響を語っているため、本作観ることでフォークロックの印象変わるかと思い鑑賞しました。結果、変わらず。嫌いなものは嫌いですね。ママス&パパスとかCSN&Yとか、完全に興味の対象外でした。


 本作に登場するミュージシャンはほとんど良いとは思えませんでしたが、ドアーズはカッコ良かったし、大トリとして登場したイーグルスは流石に風格ありました。あと、ニール・ヤングはやはり顔が怖い。ニール・ヤングは大先生なんですが、俺的にはエレクトリックギターで爆音リフをカマしてこそ大先生なので、この頃のニールはただの顔が怖いフォークシンガーでした。

 しかし、個人的なハイライトは断トツでジョニ・ミッチェル!ジョニ・ミッチェルのことをよく爆笑問題太田に似てるとネタにしてましたが、ヤングミッチェルはクセはあるものの繊細なパツキン美女!印象変わった!その辺のフォークロッカーとは一線を画すただならぬ感受性とスーパー繊細さはその暮らしぶりからダダ漏れでした。ジョニの音楽はスピリチュアル・ミュージックだと思っていまして、ジェフ・バックリィやヴァン・モリソンといった人たちと同ジャンルだと認識してましたが、人脈的にはフォークロックでしたか。言われてみればフォークっぽい。
 というわけで、ヤングミッチェルを見れたのが収穫でした。

 グラム・パーソンズとか好きになりたかったんですけどねぇ、ヌーディ・スーツ超カッコいいし。昔、『ロデオの恋人』聴いてナニコレと思いましたが、本作を観て改めて聴こうとはまったく思えなかった。そもそも、もはや自分の一部と言っても過言ではないストーンズでもグラムが絡んだワイルドホースはまったく好きじゃねぇし。やっぱり音楽の趣味って生理的な要素がデカいですね。残念。


 少しだけオルタモントフェスが語られており、『ギミ・シェルター』で観た光景が映っていたので、同じ素材使ってますね。客として来ていたメレディス・ハンター刺殺の瞬間です。久々に『ギミ・シェルター』観たくなった!あのドキュメンタリーは最初から不穏で、めちゃくちゃ緊迫してるんですよね。ステージ上のミックを見つめるサイコパスみたいなヘルズ・エンジェルズのメンバーの目つきは未だに覚えてますよ。ゾッとしますね。あと、何故かステージ上に犬がウロウロしてたりと、めちゃくちゃカオス!ヘリでストーンズが現場入りしたらすぐに『ミックが殴られた!』とか物騒な声が聞こえたり。もちろん本作ではその辺は使われておりません。せっかくだから『ギミ・シェルター』は劇場再鑑賞したい!
 前座でCSN&Yとか出てたのね。ニール・ヤングなんて顔だけ見ればヘルズ・エンジェルズだけどな!ただ、グラハム・ナッシュはヤングミッチェルと恋仲だったり、後年はリベラル文化人になったりとパーソナリティは割と好きになれそう。サブスクで彼の音楽をディグってみましたが、音楽的にはやはり好みではないです。残念。ニューオリンズに接近、ドクター・ジョンとワイルド・マグノリアス参加みたいなアルバム作って欲しかった!


 ドキュメンタリーとしては、文化論的にもなかなか興味深いようにも感じたので、結構良い出来だと思いました。
KKMX

KKMX