チュン太theRelax

じゃりン子チエのチュン太theRelaxのレビュー・感想・評価

じゃりン子チエ(1981年製作の映画)
5.0
じゃりんこチエは我が家(実家)では聖典じみていた。母親は尼崎、父親は京橋、下町の通低音はもちろん、チエちゃんの世界に色濃く、しかし偶に可憐に響いている。だから大阪の下町に暮らした我が家の人員には、否定要素がない。本当に隣にある世界のようだし、チエちゃん、やったげて!とこちらが思えばチエちゃんはキレ、ドツき、笑う。浪速特有の?といえばいいのか、上田正樹の歌う哀歌のような大阪らしい色合いの不幸、親不孝、貧しさ、馬鹿さを笑ってみたり、跳ね返してみたりする…あのチエちゃんのゲタの音が私の家族みんな大好きなのであった。
しかし個人的にはですね、声優にお笑い芸人を多用すること、大阪弁に一切の破綻がないこと、めずらしく大阪弁のやさしさが伝わること、これは故郷を大阪に持つ人間として幸せに感じる部分だし、故高畑勲さんがチエちゃんと出会ってくれたことへの有り難みも感じる。
今現在、ネットを介して様々な旧弊が明るみに出る時代において、チエちゃんの父、テツのような人物はゲンコツ(花井先生の、みたいな)ではなく、たーくさんの言葉によって追い詰められもするかもしれない。彼という人間をはっきりと確定しがちな強い言葉で。自分は昼間から遊び歩き、子供にホルモンを焼かせて生活費を捻出しているのだから、そんなアホな、な暮らしなわけだからね。しかしそんなアホな、はいつだってどこかに描かれてあるのは私には嬉しい。どんなアホにも矜持は大事、それにアホを立てて愛してやることって消えゆく慣習でもないじゃないですか。実際テツは愛すべきキャラクターとして、日々おばあはん、チエちゃん、花井先生にど突かれ、ヨシエはんに照れている。
ところでテレビ版もすき。ヒラメちゃん可愛いよね。
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