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クリーチャー・デザイナーズ ハリウッド特殊効果の魔術師たちのmaroのレビュー・感想・評価

4.0
2022年日本公開映画で面白かった順位:48/78
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

これは洋画好きな人にはたまらないよ。
『スター・ウォーズ』(1977)や『エイリアン』(1979)、『ターミネーター2』(1991)、『ジュラシック・パーク』(1993)など、往年のSF映画を中心に、そこに登場するクリーチャーを手掛けた人たちへのインタビューで構成された本作。
ファンには願ってもない内容。

ちなみに、アメリカの映画かと思いきやフランスの映画で、しかも本国で公開されたのが2015年。
なぜこのタイミングでの日本公開になったのかは謎(笑)

うーん、先に挙げた映画やその舞台裏には興味はあれど、作った人たちまでは知らないという身からすると、ちょっと退屈に感じてしまうところはあったかな(笑)
もちろん、内容としてはすごく興味深いんだけど、知りたかったのは「どうやって作ったのか」、「どうやって撮影したのか」ということ。

だけど、この映画で主に扱われているのは、特集効果の歴史と作った人たちの思い出話がメイン。
肝心の制作過程そのものについての言及は少なく、引用されている映画たちの本編映像もほぼない。
昔撮ったメイキングのアーカイブ映像でツギハギされている感じなので、やや物足りなさはあった。
前に『ようこそ映画音響の世界へ』(2019)という映画のBGMや効果音に焦点を当てたドキュメンタリーがあったけど、あっちの方が知られざるエピソードがてんこ盛りかつ体系立った構成で面白く感じた。

でも、ハリウッドの特撮まわりの歴史を大まかに知れたのはよかったな。
『スター・ウォーズ』、『ターミネーター2』、『ジュラシック・パーク』、この3作品はエポックメイキングだったそうだ。
特に、『ターミネーター2』は当時の特撮技術のすべてを注ぎ込んだようで、僕が人生で2番目に大好きな作品がゆえに、なんだか誇らしい気持ちになった(笑)

クリーチャーもやろうと思えばいくらでも奇抜なものは作れるけど、「いかに現実にいそうか」ということを念頭に置いてデザインされているため、実在する動物の動きを参考にすることが多いそう。

80年代~90年代前半まではまさに黄金期で、クリエイターたちはまわりから敬われ、みんなセレブになれるぐらいいい時代だったみたい。
それが、デジタル化の流れで何でもCGになってしまったことで、特殊メイクアップアーティストはアニメーターに取って代わられ、閉鎖したスタジオも多いとか。

もちろん、何を作りたいかによって使われる手段は異なる。
今でも特殊メイクはあるし、アニマトロニクスもあるけど、昔と比べると圧倒的にCGだそう。
昔ながらの職人たちは、時代の流れを受け入れつつも、やっぱりどこか寂しそうな印象を受けた。
とはいえ、働いている人たちがとにかく楽しそうだったのは、『ようこそ映画音響の世界へ』といっしょ。
「仕事と思ったことはない」、「もはや生活の一部」、「少年の頃の情熱を忘れずにいることが大事」などなど、みんな好きなことが仕事になっていて素敵だった。

そんなわけで、“知られざる舞台裏”みたいは感じはなかったけど、ハリウッド映画の特撮の歴史を"クリーチャー"という観点から知れるのは有意義だった。

それにしても、『ようこそ映画音響の世界へ』でもエポックメイキングだとされていた『スター・ウォーズ』、特殊効果の面でもエポックメイキングだったのはすごい。
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