すっかり便利に慣らされた現代人がこの映画の場所くらいの不便な環境に放り込まれたならどうするだろう。すぐさま音を上げ尻尾を巻いて逃げ帰るか。環境に馴染もうと知恵を絞るか。根を下ろすには覚悟も要ろう。自然抱えていた沢山の事物が削ぎ落とされていくだろう。人との繋がりを疎かにすれば忽ち孤立しただでさえ不便な生活が更に難題になってしまう。それぞれが善き心を持ち寄ってようやっと共同体が成り立つのだ。個人主義、自由主義ではおまんまの食い上げも遠からぬ。今は田舎暮らしにも不便を感じる場面は少ないけれど、都会人にもそうであるかは判らない。でもいざそこに降り立ったら意外とどうにかしてしまうのもまた人間の本質であるかも知らない。