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ムーラン・ルージュのRenのレビュー・感想・評価

ムーラン・ルージュ(2001年製作の映画)
3.0
昨年鑑賞。自分にとってこれが初バズ・ラーマン作品。確かにこれは個性全開なので賛否も好き嫌いもばっくり分かれて当然だと思った。メインプロットに取り立てて語るものは無いけど、装飾が派手すぎて語らざるを得ない映画。

ぐるぐるカメラを回してカットを割りまくって赤やら金やら派手なものを置きまくって、徹底的に鮮やかで豪華絢爛なものにすることに拘って作られたのが分かる。多分、観客が疲れるとかそういうことは一切考えておらず、作家性100%に振り切ったのが評価ポイント。
劇中で使われている既存のアーティスト楽曲にしてもElton John、Madonna、Queen、Nirvana、T.Rexなど節操が無さすぎる感じは最近で言う『SING/シング』みたいだと思った。なんでもありなサウンドトラック。

個人的にはサティーン(ニコール・キッドマン)とクリスチャン(ユアン・マクレガー)が出会って幸せの絶頂まで登る前半が面白く、後半で興味のブレーキがかかってしまった感はどうしてもあった。上記のような絢爛な世界観は内容のハッピーさが伴ってこそ価値が上がるのであり、悲劇の香りが混ざってきてしまうと中和されて面白くなく感じてしまう。

ラストの劇中劇舞台のシークエンスは再びしっかり面白い。一個人の思惑や思想で本番の作品が壊される展開にスカッとノることができない(同じ理由で『サマーフィルムにのって』も手放しの絶賛はできなかった)ので大絶賛というわけではないけど、作劇が壊れる様子さえ作劇的に見せるのはアニメのようで新しい体験だった。画は豪華で展開はカオス、キャラクター達はピタゴラスイッチのように動く。自分の好きな『ミッキー、ドナルド、グーフィーの三銃士』を思い出した。
今までのやりすぎなケレン味MAX演出は、このシークエンスのためだったのかと感じてしまうほど。

過剰なSEや倍速のクイックモーションになる演出は紙一重でダサいと思ったけど、これは好みの問題。バズ・ラーマンはこういうのが好きな人。
全体通して楽しめなかったわけではないけど、印象としては前半とラストが良かっただけに中盤だけ極端に興味を失ってしまった歪な映画。演出自体は嫌いじゃないです。

【余談】ユアン・マクレガー歌うまっ。
【余談】下書きに半年以上寝かせていたので内容ほぼ忘れていたけど、この感想読んだら思い出してきた。鑑賞記録大事。
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