杉山敦

ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサートの杉山敦のレビュー・感想・評価

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2022年2月13日、TOHOシネマズ新宿にて鑑賞。IMAX。

1969年1月30日、ロンドンのビルの屋上で行われた、最後のパフォーマンスの映像を編集したもの。5日間の限定上映。スクリーンでの大画面、それにIMAXの音響ということでチケットを取りました。

臨場感があって、現場(歴史上の大イベント)に居合わせたような気持ちになりました。それにしても、これが最後のコンサートになったと知ってる後世のこちら側からすれば、あまりにもゆるい撮影現場。関係者然とした顔で彼らの後ろに映ってる人たちのなんと多いことか(十数人)。

ジョンが「(「Dig A Pony」の)歌詞が必要だよー」と言って、歌詞メモを持たせたローディらしき赤毛の青年。最初、緊張で指が震えてるのかと思っていたらそのままの姿勢でタバコを吸い始めたよ。

「数十分で20件も苦情が来た」と演奏を止めるようにビルを訪れた警官たちを映像クルーは明らかにハプニング歓迎といった感じでフォーカスする。「こんな大音量は無用だ」という彼らの言い分はもっともだけど、対応したスタッフにのらりくらりとはぐらかされ、屋上での演奏は続く。それでも最終的には屋上に上られ、演奏はいいタイミングで終わるんだけど。

あるメンバーが「警官に止められたことにしようぜ」と言う。すかさずジョンが「ありのままでいい」と返すのがかっこいい。貴重な記録がありのままの素材としてこれだけ残ってたから、53年後に世界で新たな編集された映像として、当時は想像もできないはずの環境で上映されるんだよ。で、帰宅してSpotifyでその音源を聴きながらこうしてメモを書いてると。
杉山敦

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