東朴幕院

ザ・ホエールの東朴幕院のレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.0
『π』の時から注目していたが、本作で初めてダーロン・アロフノスキー監督作を劇場で鑑賞した。
製作にA24という事、ブレンダン・フレイザーのオスカー受賞という事で要注目作品である訳だが、期待の通りの作品で概ね満足なものであったね。
妻子を捨てて男との愛に走った国語教師であるチャーリー。パートナーの死に絶望し過食になり200キロオーバーにより家からも出られない状態の引きこもりとなった。これは所謂、緩やかな自殺な訳で毎日ピザのデリバリーを食べており、空腹を満たす為というよりかは自暴自棄になっている印象。
生活はリズというアジア系の女性が面倒を見てくれているが、ホン・チャウが演じており、彼女の演技も白眉だった。
そこに8歳の時に別れた娘のエリーを呼んで今までの行動を謝罪し最後に絆を確かめたいと思ったが….。
概ね作品には満足であったが、娘エリーの行動が余りにエキセントリックで理解出来ず。アロフノスキー監督の狙いはその理解の出来なさ、それでも血縁のある娘でチャーリーは無償の愛を捧ぐのだが、行為が結構意地が悪くなんとも言えない気持ちになったのも事実。
それでも作品のトーンや時折混ざりあわされているユーモアなど好感が持てるし、チャーリーの部屋から殆ど出ない設定もあり全く飽きさせないものであり、かなり楽しめた。
戯曲の映画化という事もあり、それぞれの対話のクオリティも良くオススメな作品だ。
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