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ザ・ホエールのKotaのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.4
“誰かを救うことなんてできない、それでも信じたい。”

同名の舞台演劇をアーレン・ダロノフスキー監督が映像化。閉ざされた閉鎖空間の中で、アカデミー賞主演男優賞、メイク・ヘアスタイリング賞を取ったブレンダン・フレイザーが無双する。正直、舐めてました。今年暫定トップ映画です。

ほとんどが5人の演技合戦。主演は言わずもがな、ホン・チャウとサマンサ・モートンはさすがの存在感。セイディ・シンクとタイ・シンプキンスがそれに必死にしがみついているような構図。もちろん特殊メイクは凄いのだけれど、それがなかったとしても素晴らしい作品であることに変わりはない。

ブレンダン・フレイザーの演技と音楽による、まるで鯨が大海原を泳ぐようなずっしりと思い波の起伏が胸にズドンズドンと何度もぶつかり、エンドロールまでのシークエンスでは自分でも引くほど涙が出た。泣こうとか泣けるとかも思わずに何故か涙が止まらなかった。場面がほとんど変わらないからこその最後の海への昇華は凄かったし、最後だけ外が晴れて眩しかったのも、もう全部泣けた。久々に映画の力を見た。ありがとう。
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