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ビリーバーズの8637のレビュー・感想・評価

ビリーバーズ(2022年製作の映画)
3.8
城定秀夫監督の映画はやっぱり面白い。男がなぜ脚に浪漫を抱いてしまうのか。ポルノ的映画が未経験だったので、それの極端さにちょっと驚かされた。カルトが性と死を超え、もはや日常。悪気とかを超越した人間の醜さが丸裸にされる。人間と宗教への皮肉であり問題作。

危なっかしすぎる論理展開で平然を装って欲情し、気付いたら人間ですらない。それこそ、侵入した若者たちの言う「フリーセックス」こそが後の出来事の暗示であったはずだ。なぜ気付かなかったのか。成し遂げられなかったことを全てこの言葉に集約させ、過剰な反省で自己解決させようとする。口伝達で結果を出していく実験なのに信頼が無さすぎて元も子もない。

「俺はこんな宗教に洗脳されず、自我を生きるぞ!」という"当たり前"に洗脳されている我々だって同様だろう。誰かの定めた"安住の地"なんて価値の無いものなのかもしれない。

ポルノの名手と言われるだけある、役者への演技の引き出し方だったと思う。エロいだけじゃ終わらない、汚さやくどさも同居する性行。これが一部シネコンでも上映されるとか城定秀夫と磯村勇斗への信頼感凄すぎだろ。
結果的に見苦しくなかったグロも、R15+ということで構えてしまい、ちょっと避けてしまった。
曽我部恵一の曲っていつもやりすぎな気がするが、ニコニコ人生センター会歌へのアンサーのような主題歌は良かった。
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