宗教を題材にした作品で、自分の中で最も心に残っているのは『教団X』という小説。
1人の教祖を中心に「性の解放」を謳うカルト教団で、教団員は皆信じている。
教祖には崇高な信念があるに違いないと。
成すべき目的のために、自分たちは存在していると。
しかし物語が終盤に差し掛かるにつれて、教団設立の理由が明らかになる。
「暇だったから」、それが理由。
衝撃的で、且つなんとあっけない結末。
ニコニコ人生センターにも、なんとなくそんな影を感じた。
先生には一体どんな思想があったんだろう。
みんなのために、”何を”頑張りたかったんだろう。
俗世に弾かれた人たちが集まってコミュニティを作れば、そこにまた俗世が生まれる。
世間の欲深さに辟易した人たちが集まっているはずなのに、時間が経つにつれ皆、「自分たちは欲を我慢しているだけ」ということに気づいていく。
生きづらかったのは、自分が俗世の中で”弱い立場”だったから。
“強い立場”になれば、思い通りの行動ができて、意外と人生は悪くない。
宗教団体もあくまで、俗世にまみれたコミュニティである、という悲しい事実がわかってしまう。