このレビューはネタバレを含みます
意識不明の白人女性を発見してしまう、黒人男性の話。
パーティーの梯子を計画する序盤は『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』みたいな映画になるのかな~と思いきや、友人宅で倒れた白人女性を見つけてしまうと。
黒人男性からしたら「エメット・ティル殺害事件」を想起させる悪夢的な状況なわけですが、日本人的には理解に苦しむ人もいる事でしょう。
そういう人は是非『ティル』という映画を見て欲しいなと思います。
そんなわけで、女性の処遇を巡って、あれこれ策を練るわけですが、どれも上手く行かない…どころか、どんどん状況は悪化していく始末。
コメディー調で始まりつつも、気付いたら人種問題を絡めたスリラーになる辺りは、ジョーダン・ピール作品を彷彿とするものがありましたね。
まぁ、ジョーダン・ピール作品なら後半に大きな飛躍が用意されているわけですが、本作は主人公2人の友情と和解という、わりと地に足の着いた結末に向かいます。
人間ドラマとしては、これはこれで良いと思うんですけど、娯楽映画としては、もう一捻り欲しかった気もしたかな。
最後まで女性を助けようとする男性も、自分の身を守る事を優先する男性も、どちらも間違っていないというのが、現代の黒人差別問題の複雑さを示しているのでしょう。
「差別によって、人助けすらままならない…」という視点の提示は新しいものがありましたし、「差別が回り回って、白人にとってもリスクになる…」という話は寓話めいたものがあって、改めて差別は百害あって一利なしだなと思いました。