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雄獅少年/ライオン少年のKUBOのレビュー・感想・評価

雄獅少年/ライオン少年(2021年製作の映画)
4.5
今日はGAGA本社で試写。映画『雄獅少年/ライオン少年』アニメイトタイムズ独占試写会。

昨年、中国アニメの上映会「電影祭」で見た『雄獅少年』の一般公開が決まった。日本公開版は花江夏樹ら豪華声優陣による吹替版だ。

一昨年は『羅小黒戦記』の大ヒットで俄然注目を集めた中国アニメだが、本作も素晴らしい出来の作品だった。

3DCGによるアニメーションだが、「光」の表現に対するこだわりがハンパない。

夕景。印象に残るのは夕景そのものではなくて、強い夕陽が当たる少年たちの顔。背後に夕陽を背負った少年の頭髪越しに透けて見える光など、「光」を意識させる映像が素晴らしい。

通りをすれ違う人々、祭りの広場に集まった人々、ものすごい人数が全員動いている! よく劇場版でもモブキャラが動かない作品もあるけれど、これだけ動かされると中国アニメのパワーを否が応もなく感じさせられる。

雨で濡れた石畳や、霧がかかる街並みの表現など、全てのシーンにこだわりがある。

ディフォルメされたキャラクターを除けば、実写と見分けがつかないほどのリアルな背景。全てのシーンが本当に美しい。

主人公は両親が広州まで出稼ぎに行っている少年チュン。両親に会いたいチュンは、広州で開かれる獅子舞の大会に出ようと、それまでやったことのなかった獅子舞の練習を始める。

前半は仲良しトリオの練習の日々で笑いも多いが、終盤になると『ロッキー』か(?)と思うほどの熱い感動が!

背景にはタワマンもたくさん見えるけど、主人公は両親が出稼ぎをしなければ生活ができない貧困家庭の少年だ、というところが良い。チャイナマネーが世界を席巻する中で、映画を楽しみにしている大衆の多くは、こういった田舎に住む貧困層なのだろう。

中国アニメの恐ろしいほどの進歩を見せつけられた『雄獅少年』。映像、音楽、熱いストーリー! アニメファンはマジで必見! 傑作です。
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