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エノーラ・ホームズの事件簿2のmaverickのレビュー・感想・評価

4.3
2020年に公開された『エノーラ・ホームズの事件簿』の続編。監督、脚本、キャストは前作から続投。2022年11月4日にNetflixによって独占配信された。


満を持しての続編。前作のファンだけにとても嬉しい。これは2022年を代表するNetflixの看板タイトルで間違いないだろう。前作の作品性はそのままに、安定した面白さと新鮮な追加要素で大いに楽しませてくれる。前作を好きだった人には必見の作品だ。

ミリー・ボビー・ブラウンの女優としての貫禄は、もはや十分。主役としての存在感で作品を引っ張る力強さに溢れている。エノーラのチャーミングさと相まってとても可愛らしいのが魅力的。ころころ変化する表情に釘付けだった。こちらに向かって語りかけるのが良いんだよね。舞踏会でのダンスのシーンはドキッとする美しさで、エノーラの気持ちの変化も見事に表現していた。

今回はもう一人の兄、マイクロフトは不在。そのためシャーロックの出番が多いのは嬉しい。良き兄であり、エノーラにとって最高に心強い味方。Wホームズの活躍が存分に見れるのは本作の醍醐味である。母親のユードリアもちゃんと活躍する。ヘレナ・ボナム・カーターは特異なキャラを演じることが多いが、本作では優しい母親を演じているのが印象的である。でもこのユードリアも変な人なんだけどね(笑)。

謎解き要素にわくわくさせるのはもちろん、史実を絡めた話で物語に深みも出している。ホームズは架空のキャラクターだが、この時代の実際の話とリンクさせることで彼らがそこに存在していたかのように感じさせる。女性が力を持てなかった時代を象徴する話であり、それはエノーラが主人公のこの作品性に見事に合致している。エノーラ自身も女性であるがために様々な場面で軽んじられる。それを必死で変えようとしたエノーラと、女性の人権のために戦った人達との話がテーマとして繋がっているのである。単なる娯楽作としてでなく、こうした考えさせるテーマが核となっているのがNetflixらしい試みで素晴らしい。

前作ですでに予想は出来ていたが、本作でついにあの重要人物も登場。これはもうホームズファンには嬉しい限り。その描き方も独特ではある。多様性は抜きにして、これはこれで斬新じゃないかな。


これ絶対3作目もあるでしょ。さらなる続編を期待させる作りで興奮した。息の長いシリーズとなって今後も楽しませてほしい。
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