hirogon

オリエント急行殺人事件のhirogonのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(1974年製作の映画)
4.0
ケネス・ブラナー版(2017年)を見た後にシドニー・ルメット版(1974年作品)の比較鑑賞。
リメイク作品とオリジナル作品を比較鑑賞するのは面白かった!

やはり雰囲気は、かなり違いますね。
豪華俳優、豪華衣装、豪華列車内装という所は両方の共通点ではありますが、時代や撮影技術、出演俳優の個性、ストーリーのディテールや映像表現の違い等で、大分印象が変わってきます。
ポアロのイメージは、本作のアルバート・フィニーの身長低めで小太りの感じが、ケネス・ブラナーより原作イメージに近いようです。

オリエント急行は、1974年時点で豪華客車はもう走っていなくて、ルメット版でも映画用に作っているとメーキングで説明がありました。
wikiによると、オリエント急行は2009年に全面廃止されていますが、豪華客車のみで編成されていたのは第二次大戦前まで。
第二次大戦後は列車は二等車や三等車主体の編成に国際寝台車会社の寝台車が併結されるにすぎないものだったとのこと。
1971年には国際寝台車会社が寝台車事業から撤退して、映画に出て来るようなオリエント急行はもう走っていなかったようです。
飛行機の普及で長距離豪華列車の採算がとれなくなったのが要因の1つですが、風情が無くなっていくのは少し寂しい感じもします。
あの豪華列車体験は、もうしたくてもできないのは残念!

ラストの謎解きシーンは、
オリジナル版では列車内に乗客が集められた状態で行っているので、こちらの方が素直で自然な設定ではあります。
リメイク版は列車外で一列に並んだ乗客に対して行っていて、芝居がかってはいますが、あれはあれで印象的でした。

上記以外にも、異なる部分は色々ありますが、どちらの作品もそれぞれの良さがあります。
出来としては、オリジナル版の方がまとまっている感じがしますが、どちらが好き?と言われるとリメイク版かなあ。
これは、先に見たのがリメイク版のため、その印象とインパクトが強く頭に残っていて、こちらが基準になった感じがあるから。
もし制作順どおりに先にオリジナル版を見ていたら、そちらを好きになったような気がします。見る順番の影響って結構大きい?

ケネス・ブラナー版のアガサ作品のリメイクがシリーズ化されたら、オリジナル版との比較鑑賞は楽しみの1つになりそうです!
hirogon

hirogon