後のホラー映画に影響を与えていると聞いたので。モノクロの中でも影が強調されているようで、奥行きがある映像には洞窟くらい吸い込まれていく。この光の明暗は意図的なものなのか、当時の最先端の照明とカメラがつくった偶発的なものなのか。明暗と歪みによって表現されている夢を見ているような映像だった。不穏なBGMは後付けされていて、見る映像によって違うらしい。100年前の映画なので撮影技術には劣るものの、この展開を作る概念があったことに驚く。無声映画に慣れてないので目から入る情報過多で大変だった。あれ、これどういうことだったんだろうかと思って少しの間があり台詞画面が表示されるのが“意味がわかると怖い話”と感覚が似ていた。現代の音で驚かせてくるホラー映画とは違い、台詞がないせいか表情の変化が激しい。登場人物の中でも夢遊病患者のチェザーレが妙に綺麗な顔立ちなのが印象的。無声だからこそ映像で見せてくる奇妙な背景と展開が良かった。