ゆみな

今夜、世界からこの恋が消えてものゆみなのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作既読。観る前からネガティブな情報が嫌でも耳に入ってきていて、推しが主演だからって微妙だった時に嘘つくのも嫌なので、実は観るのがちょっと怖かった。でも、そんな心配は皆無でした。贔屓目なしに丁寧に作られたいい映画でした。

音楽が亀田誠治さんだったので、そこには絶対的な信頼を置いていて…どうやら2年前ぐらいからこの作品に取り掛かっていたとか。始まりから終わりまで優しく儚い世界観にピッタリでした。素晴らしい。

原作読んでないとちょっとわかりにくい部分もあったかな?現在と過去が少し入り交じる部分があったり…まあ、そこは真織(福本莉子)の髪形で判断できるから大丈夫かな?彼女の消えた記憶に入り込んでいくところが物語の始まり。

道枝さんは正に透にピッタリ。十代のうちにこの役をできてよかったんじゃないかと思う。透明感と儚さがものすごい。本当に消えちゃうのかと思った(まあ消えちゃうんだけど)。淡々としたぶっきらぼうな告白シーンから、だんだん気持ちが変化していって表情が色が出てきたり…佇まいまで活き活きしてきたり、細かいお芝居を頑張っているな…って思いました。ガツガツしてないのが逆によくて、好きな人には不安を与えないように優しく笑って、でも気を許せる姉には素直にニコニコ笑って会話して。多分、透は誰よりも周りに気を使える人なんだと思ったし、そういう人に限って儚さが付きまとうんだよな…って無駄にリアルに感じてしまった。見返りを求めず好きな人にこれでもか…って尽くしてるの、めちゃくちゃ素敵だったな。

好きなシーンは「明日の君を2人で一緒に騙そうよ」ってところと、喫茶店での姉との会話(ここなんか知らんけど泣きそうだった)、あと透くんの文字と共に居たはずの彼が消去されてしまうところ、記憶障害が治りつつある真織が目覚めた時にちゃんと透も過ごした日々を感じられたラスト。上げるとキリがないけど、ちゃんと記憶に残る場面がたくさんあったなぁ…って思いました(まだ1回しか観てないからいっぱい観逃してるとこあると思うけどね)。

萩原聖人さんとか古川琴音さんとか、他のキャストの方のお芝居もとても良くて。古川さんは重要な役だったので大変だよな…って思ってたけど、原作のままの泉ちゃんで凄かった。アドリブだって言ってた透くんに鞄投げるとこ大好き。あの時の透くんも自然にいい表情出てたし。

あと、やっぱりエンドロールのヨルシカさんの左右盲とってもよかった。流れている間、色んな場面が頭を駆け巡って余韻に浸れた。


あと、私も例の作品大好きなので、デートシーン色々言われてるのは知ってるんだけど、それはそれ…これはこれ…って別物に考えて観るのがいちばんだと思う。原作になかったキスシーンも然りですけど、自分で観て判断するのが1番かと。煽るような他人の言葉より自分の感覚に従って欲しいな…って思いますね。制作陣やキャストの皆さんが全身全霊かけて作った作品だと思うので。

あ、キャスト目当てでも作品が好きな人でも、パンフレットは買った方がいいよ。私は買った。早く読んで。


【2022/07/30 2回目観賞】
早くも2回目観賞。答え合わせ的な感覚で観れるので前回とは違う発見もあったり。透くんは真織にだけではなく、誰に対しても優しい人なんだな…って再確認。姉とのシーンで時分は犠牲になっていないし姉の書いてる小説が心の拠り所になっているって言ってたり(初心ラジ聴者としてはニヤついてしまったりもした)、父親に対しても感謝しているってハッキリ言い切るところが素敵すぎると思ってしまった。彼に関わる人は皆が心が軽くなるんじゃないのかな…?真織もサンドイッチ食べながらそんなことを言っていたような気が…。

花火のシーン…前回はキスシーンに気を取られてしまったけど、真織のモノローグから台詞が全部神がかっていた!忘れたくないに決まってるじゃん!いつか思い出して欲しいと切に願いますね。

ペンギンのキーホルダーを忘れられてしまって現実を突きつけられた透くんが、花火の時に真織が髪飾りつけてきてくれたの死ぬほど嬉しかっただろうな…ってハイタッチしたい気分になりました。よかったね!透くん!

【2022/08/02 3回目観賞】
今回は真織視点で観てたかも。透くんとの初デートでお互いの事を話した後の台詞「心が急かない…苦しくない」でしたね。毎日毎日記憶なくしてゼロからのスタートでのこれは凄いな。透くんの柔らかな人柄にも理由はあるかもだけど、実はお互い物凄く自分より相手を尊重する似た者同士タイプなんでしょうね。真織は誰かを助ける為に事故にあって、でも絶望の中でも相手を思いやる心があって。だからあのとき透くんに擬似恋人関係は解消しよう…って言ったのも本気だったと思うし、これ以上自分のせいで誰かに迷惑かけたくなかったんだろうな。そして、やっぱりその後の透くん神がかってカッコよかった。素敵だったな。

お通夜のシーン…今回はめちゃくちゃ泣いた。手続き記憶がここで活きてきたのか…って思えると泣けて泣けて。記憶にないのにどこかで彼が残っている…ってわかるシーンだと思ったし。

あと、ラストのサンドイッチ食べてからの「目…覚めた?」って透くんのシーンさ、よく考えたら日記に残してない部分だよね。だから、同じ行動をしてそれを少しでも感じることができたなら本当に完全に忘れるわけじゃないんだよな…って確信して、じんわり泣いてしまった。やっぱりいい映画ですね。

【2022/08/04 4回目観賞】
何度観てもタイトル出るタイミングが好き。透くんの絵も好き。

「神谷透くんの事を忘れないで」って付箋、花火大会の後に書いたんだな…。花火大会の真織のモノローグ「また幸せが溢れて 私の記憶が追いつかなくなる」でしたね。あそこからずーっと泣けちゃう。透くんの口から出てくる言葉はなぜか全て信じてもいいんだ…って気持ちになっちゃう。忘れたくないよな。

泉ちゃんの立場だったらキツくて精神状態持たないかも…って思った。置き去りにされた…って台詞通りに、彼女の時間も止まったままだったのかな…真実を話せるまで。泉ちゃんがあの日の自分と対峙する構図や、あの日の自分とすれ違う場面…視覚的にも感情的にも訴えかけてきてとても好き。思えば、別の作品の話になるけど死んだ自分を見ている構図とか激萌えだったの思い出した。

泉ちゃんが真織の日記を読み返してるとこ見ると余計に追い込まれてきて辛くなる。親友のいちばん忘れたくない記憶を、自分が消去しなきゃいけないというやるせなさ。でも、そうしないと親友は壊れてしまう…そして、もう一人の親友の託した願い…それをやり遂げる強さね。結局、優しい人って強いと思う。

透くんが終始日野って呼んでるところが好きだし、自分のことを僕って言うのも好きだった。あと「余裕じゃん」って所と、「日野にわかるかな?」ってとこ、少しだけSっぽくてギャップ萌え。

【2022/08/09 5回目観賞】
展開も台詞もわかっているのに、なぜか涙が溢れてくるのが不思議。たぶん1回目より2回目…2回目よりも3回目の方が心に沁みるやつ。

透くんの後ろ姿の…襟足から背中にかけての首のラインが好き。

やっぱり喫茶店でのお姉さんと透くんの会話シーンが好きすぎる。自分の存在が彼女の記憶に残らないことを少なからず寂しく思っている彼に、いちばん欲しい言葉をあげるお姉さん流石。その言葉でこぼれる笑顔が愛おしさを増す。透くんが自分は間違ってないって確信できた瞬間かも。

ペンギンのキーホルダー、卒業式の時には泉ちゃんのバッグにもついてたな…。思い出の上書きみたいで少し切なくなったけど、よく考えたら3人お揃いだからいっか。

ラストに真織が描いてる透くん…海岸で本読んでる透くんっぽかった。という事は、やっぱり真織の頭の中のどこか片隅にあの時の彼は生きてるのかな…って思えて嬉しかった。ほんのちょっとでも記憶が戻ってくればいいのに。

【2022/08/25 6回目観賞】
ちょっと間空いたからか周りに釣られてかアホみたいに泣いた。今日がいちばん涙腺崩壊したな…ヤバかった。

真織が眠ってしまうとこ、ちゃんとシャツかけてあげてる透くんほんとに愛おしい。普段からお父さんにもそうしてあげてるように、優しさが根付いているんだね。

泉ちゃんから真実を打ち明けられた後に自分の日記を見る読み返して、透くんは記憶の事を知ってたんだな…って、ちゃんと真織が気付けるくらい透くんは彼女の為に動いていたんだなぁ…。こういうのを無償の愛って言うんだね。

お墓参りでお母さんの名前やっと確認できた。お姉ちゃんのペンネーム。

透くんと泉ちゃんの関係性が好きで、でも泉ちゃんにしたら苦しかっただろうな…。透くんが居なくなった後…いちばん近くで2人を見てきた彼女が、2人に置き去りにされちゃったの辛すぎる。透くんと泉ちゃんって秘密の共有があるので、そこはそこで特別な関係だと思う。透くんは純粋に親友として見ていたと思うけど、泉ちゃんはそれだけではない複雑な気持ちも少しはあっただろうし。その辺は続編とか読めばわかるのかもしれないけど、私は今のところ映画の思い出に浸って自分の中で想像していたいのでしばらくは読まない。

道枝さんはアイドルの時はキラキラオーラが凄いのに、映画の中で普通をちゃんと演じることができるのがすごいと思う。普通って意外と難しいよね。でも、感情がちょっと高ぶると途端に瞳が輝いたりするので、こっちも一気に引き寄せられちゃう。透くんが道枝さんでよかったな。
ゆみな

ゆみな