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NOPE/ノープのなごhobbyのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.0
 鬼才ジョーダン・ピール監督の最新作!この監督の作風はとても好きで、気になっていて、ようやく観に行けました!

 南カルフォルニアのとある田舎町にある牧場で調教師をしているOJ。彼の父親は半年前に航空機の落下物による事故で亡くなっていた。しかし、彼は父親の不可解な死を納得できないでいた。そんなある日OJは高速で飛行する「何か」を目撃する。彼は妹とその正体を突き止め、金儲けをすることを考えるが、それによって思わぬ事態へと進展していく。

 今作は今までにないような切り口で展開されるSFスリラー。ほんとに鬼才ジョーダン・ピールの名に恥じない作品だった。
 物語の核となるのは「見る」「見られる」の関係性と「最悪の奇跡」である。物語の中で、主人公たちは「何か」の正体を突き止め、映像に撮ることで金儲けをしようと考えるが、これは現代のSNSが普及した世界でもたびたび問題になっている行為で、その都度「見られる側」の権利はどうなのか?などが議論される。本作もそのメッセージが込められているように感じた。そのメッセージ性を強めるチンパンジーの例も衝撃的な内容となっている。(この例は実際に起こった事件がモチーフになっている)
 ただ、このテーマで監督が描きたかったもう一つの「見る」「見られる」の関係は兄妹の関係性を通じて描かれており、これが、とても対照的な描き方をしていて、ラスト30分は伏線回収もあり、特に良かった!
 また、作中で強調される「最悪の奇跡」というのもこの映画の娯楽性というのを高める一つの要素となっていて、「確かにこれは最悪の奇跡だ…」って観ている中で何度も思った!
 他にも演出の部分で、「何か」の造形やIMAXカメラで撮られた映像、不気味な音楽がとてもよく、作品の雰囲気を引き立ているように感じた。
 中盤は少し冗長に感じることもあったが、鑑賞した後はとても満足できる作品だった。

 この作品もとても自分好みで、ジョーダン・ピール監督の次の作品がとても観たくなるようなそんな作品だった。
 
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