このレビューはネタバレを含みます
（※ネタバレというより、内容を含んだ感想です）
予告だけ見て勝手にパニック映画かと
思っていたらホラーの括りだったんですね。
同監督さんの他作品は未鑑賞だったので、
まさしく未知との遭遇でしたが、怖いというより
かなり風刺が効いていて、深い話だと思いました。
（ゆえ、ただ怖さを求める人には物足りなかったかもしれない…）
冒頭から旧約聖書の一部が引用されることで、
ただ怖いだけの作品ではなさそうなことが
分かってちょっと安心。
内向的な兄・OJと物怖じせずオープンな妹・エム
対極的な兄妹をはじめ、各キャラクターの性格や
おこないがそれぞれの運命に繋がっていくのが
とても面白かった！
展開がまったく読めないというより、
薄々想像がつきつつも、つい前のめりに
なってしまう感じも◎
劇中の「ゴーディ家に帰る」も実際にあった
事件がベースになっているらしく、
人間が人間同士に優劣をつけるだけでなく
人間以外の生物を無意識に見下げている瞬間があることや、
その生物の本質を侮っていること
そして、私欲を満たすことだけを考える者達
（ジュープやホルスト）への警鐘や顛末
映画業界のリアルも織り込まれたりして、
なかなかシュールだったなぁ。
エヴァの使徒のオマージュらしき未確認飛行物体は、
カイトのような内部（内臓？）もテントの中みたいで
ちょっとチープに見えなくもないんだけど、
多分、ツッコミどころはそこではなくて、
あの大きな目
あちらもまたこちらを監視しているということが
メッセージだったんだろうなぁ。
目を合わせなければ襲ってこないという
野生のルールは守っているし
捕食はそのルールを犯したものへの罰なのか、
単純に生きる術なのか
不要なもの（金銭や装飾品など食べられないもの）を
吐き出しちゃうとか、器官が弱いなんて
設定がものすごく生き物らしく感じた。
反面、どこか神っぽい存在にも思えたり。
後半、未確認飛行物体に過去のトラウマも含め
“ジージャン”と名付け、
目を合わせないルールを順守して対峙しようとしたOJは対等に闘っているようにも見えたし、
割り込んできたフルヘルの記者
（↑ミスチルの「Q」のジャケを思い出したｗ）を一度は助けようとするも、
巻き添いをくらいそうと感じた瞬間見放すとか
スクープをとることに躍起になってるエムが
一瞬捕食されそうになるとか
それこそ、ホルストがいつも見ていた
野生の捕食シーンを彷彿とさせる野性的な感じだった。
慎重になってたホルストが、職業病的に危険＜撮影に
なっちゃってるのも、なんか分かるような分からないような…
そして、エムがバイクとばしてるところが
めちゃくちゃかっこいい！
（AKIRA！）
（他にも他作オマージュみたいなところ、結構あったのかな）
テーマパークのアナログ写真で撮影するところは
「なるほど！」って思ったし、パーク内に流れる
アナウンスが妙にリンクしていたりするんだけど、
最後の最後で
・策略どうり、フラッグを飲み込んで自滅した
未確認飛行物体（ジージャン）
・実は騒動を聞きつけ現場にいたらしきどこかの局のカメラクルー(※)
・ラッキーとともにやってきたOJは生きているのかエムの幻想なのか
ここらが整理できないでいる。
（あらゆる想像をしているのは面白いんだけど）
特にカメラクルーのことは、撮影に成功していて
結局詐取されてしまうリアルなのかと思った見てたけど
この部分にふれている方をお見掛けせず、
みなさんがどう解釈しているのか気になるところ。
(※)これ、私の解釈違いかも。
他のカメラクルーが現場にきてたわけじゃなく、エムが撮影した写真が元に報道されてる音声が重なってるだけ？
序盤の暴れていたコーディが、アジア系のジュープに
シンパシーを感じてしまう（という風に受け取った）
描き方をしてるくらいだから、
個人的には、一獲千金を狙うという私欲をもったエムにも
なんらく報いがあるのかなと想像してしまったりもしている。
すっきりしないなー(笑)
まぁ、そこも含めて、自分の中では痛烈な社会風刺
（転じてホラーみたいなものかも）という捉え方になったけど
久々に、あれこれ気になるところだらけで
一筋縄では理解できない面白い作品だった。
これは、色々な人の感想を読むのが楽しい。
最後に、ラッキー。
人間に好き勝手振り回され、とんだとばっちりでしたなぁ…
マジでお疲れさまでした。
世界で初めての映画が馬と騎手ということとは別に
馬と旧約聖書も関りが深いみたいだから、
その辺を掘っても面白そうな…
時間が合わなくて２Dかつ、そんなに大きい
スクリーンじゃないところで見ちゃったけど、
エンドロールみてたらフルオケ？？
凄い人数だったな。
映像もだけど音楽が壮大だったから、
IMAXおかわりしたいし、やっぱパンフレットよみたいな～
