ラグナロクの足音

NOPE/ノープのラグナロクの足音のレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.5
思っていた以上にスピちゃんのエピゴーネンすぎて苦笑い。これまでの2作品同様に黒人の搾取されてきた歴史を直接的すぎるアプローチで描き出す。映画業界における差別という切り口から"見せもの"に対する普遍的な人間の底知れぬ欲望の怖さまでをエイリアン(というか使徒)というやり尽くされた手法で改めて描いていた点は面白い。確かに、人に見せるものを撮るという映画本来がもっている機能はSNSの登場で一般市民レベルまで悪しき形で蔓延暴走し止まることを知らない。撮ることや見るという欲望に無頓着に従っているとハリウッドのカメラマンやTMZの記者のようにジョーズに食われちまうよというメッセージは確かにトレンディーだと思う。だが一つ一つのメタファーがいつも通り実にストレートすぎて、余韻や余白が全くなかったという印象。トマスジェファーソンが書かれた5セント玉で死ぬ父とか、カウボーイハットの円盤とか、シットコムで暴走する猿とか、ズープラクシスコープとかここまであからさまな表現使ってくるもさすがに下品。
ラグナロクの足音

ラグナロクの足音