マクガフィン

破戒のマクガフィンのレビュー・感想・評価

破戒(2022年製作の映画)
3.4
部落差別の排他意識だけでなく、同調圧力がまかり通る時代背景が効果的で、その社会悪故か、戦争に突き進む妙な説得力がある。制度上は差別が廃止されても、人々の心から差別意識は抜けないことは現代にも通じる。出自によるアイデンティティの葛藤や、社会の圧力や父の戒めによる、幾層に降りかかる苦しみが胸を締め付ける。原作未読。

それでも偏見のない教育の大切さを説き、矢本悠馬のような理解者が身近にいるだけでも、少しは救われるのでは(「無意識の偏見」を後悔することも良い)。差別問題に対して蓋をするだけでは根本的な解決にならないのでは、と考えさせられる。