コマミー

デュアルのコマミーのレビュー・感想・評価

デュアル(2022年製作の映画)
3.6
【その選択の先】




"カレン・ギラン"って、改めて役選びや作品選びが飛び抜けて自由で尊敬するなと感じた。

謎の"病魔"によって"余命僅か"を宣告された"サラ"は、ふと焦りと成り行きを入り混じらせながら「リプレイスメント(継承者)」いわゆる"クローン人間"の注文をする。自分が亡くなった後も、自分と言う存在が居続けられるように。そして、"クローン・サラ"が完成し、「もう安心」かと思った矢先、医師からの電話で病が"奇跡的に完治"した事を知らされ、"生きる事へのお互いの欲望"が増大する。

全体的な感想として、ほんと人間ってとても"醜い生き物"なのだなと絶望してしまうような内容だった。最先端技術に飛びついた女性がたどり着く、"最悪の展開"がもう本編中ずーと続いているのだ。
しかもその最先端技術であるクローン・サラは、オリジナル・サラの生活をどんどん"奪い"、オリジナルは居場所を無くしてく。そこでたどり着くのが、最終措置として提案された"決闘裁判"である。オリジナルかダブル(クローン人間の呼称)、どちらかが生き残る賭けみたいな措置である。
そこで、彼女の"武術の特訓"が始まるのである。監督の"ライリー・スターンズ"は、一時期日本ではNetflixで配信され、現在はU-NEXTで観れる「恐怖のセンセイ」の監督だ。「恐怖のセンセイ」は、まるでダークな「ベストキッド」と言った内容で、冴えない男が自分を虐げてきた奴らを武術でぶっ飛ばすと言う内容であった。そしてこの「デュアル」にも、ダブルに勝つ為にオリジナルが薦められるのが武術レッスンである。本作はダークな内容でありながら、このシーンはとても和む。"アーロン・ポール"演じる"センセイ的"存在との稽古の様子が、とても緩く描かれててもう笑うしかない。

だがそれにしても、主人公に共感できない。クローンを作るまで即決すぎるし、悲しんでいながらも一方的な大切な人への対応は止めない。どこまでも自分勝手で、ラストはそれゆえの結果だろうと感じた。作られたクローンは一方的に責められて可哀想だったが、オリジナルと圧倒的に"ものが違いすぎて"怖かった。

逆に、人生の良い勉強になったなと感じました。
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