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燃えよドラゴンのKUBOのレビュー・感想・評価

燃えよドラゴン(1973年製作の映画)
5.0
3000マーク記念の作品は、本来なら「ブルース・リー 4K リマスター復活祭」で見る予定だったけど、コロナ渦でアップリンクで見る気がせず、スルーしていた我が青春の思い出の映画『燃えよドラゴン』にしました。

「アチャー!」いきなりの怪鳥音。後年、中国拳法と言えば誰でもこんな声を発するような感じになったが、これはもちろんブルース・リーが元祖!

“Don’t think! Feeeel! It is like a finger pointing a way to the moon.

この台詞も有名になって、後の作品に大いに流用されているが、実はこの当時、まだビデオなるものは家庭用としては無く、私は全セリフを収録したレコード(CDではない)を購入して、この台詞を言えるようになるまで練習したのを覚えている。最初の英会話教材が『燃えよドラゴン』の全セリフ収録のレコードだったわけだ。

(ちなみに香港の映画界では自国語であったとしても声優がアフレコで入れる習慣だったので、ブルース・リー本人の声が聞けるのは『燃えよドラゴン』だけらしい)

オープニングタイトルにかかるラロ・シフリンのテーマ曲! カッコいいなぁ。耳につき過ぎて、もはや青春のテーマ曲だ。

イギリスに返還される前の古き良き香港。今、香港の人たちが見たら、この頃のままでよかったと思うんじゃないかな。

本作のジョン・サクソンが、今のディカプリオみたいだから思い出したんだけど、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の中にもブルース・リーが出てきたよね。『グリーン・ホーネット』を撮ってた頃だから、あの5年後に本作に出演し世界的に大ブレイクするわけだ。

ジム・ケリーのデカいアフロもいいなぁ。マイケル・ジャクソンもやってたし、あの頃のファッションの最先端ですな。

踊るようなフットワークを使った軽快な身のこなし、トドメを刺した時の哀しげな表情、まるで歌舞伎の見得にも通じるような見開いた目、全てブルース・リー以前にはない、独特な表現だ。

出た〜、ヌンチャク! これみんな練習したわ。で、みんな頭にぶち当てて痛かったわ(^^)。

ウルヴァリンの爪みたいなのを着けたハンに腹に傷をつけられ、流れた血をぺろっと舐めるシーン。そしておなじみの鏡の間の決闘。多くのアクション映画やアニメなどに本作のオマージュとして登場している。

アクション映画自体の成熟度で言えば、現在のドニー・イェンの『イップ・マン』などの方が上かもしれないが、ブルース・リーの動き、ブルース・リーの拳法、ブルース・リーの表情は誰にも真似できない。まさに ONE & ONLY !

公開当時、映画館を出るときに、僕らはみんな足取り軽く、少し強くなったような気になって、ウキウキ家路についた。

この超人のようなブルース・リーが、『燃えよドラゴン』公開時にはこの世の人ではなかったなんて…

マリリン・モンロー、ジェイムズ・ディーン、そしてブルース・リー。スーパースターは謎の死を遂げて永遠になる。

我が青春のヒーロー、ブルース・リー。青春フィルターがかかった本作は、星5つ以外付けられません。
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