大島育宙

MEN 同じ顔の男たちの大島育宙のレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.9
ホラーとポルノは隣接ジャンルだとして、襲われる主人公女性が恐怖や攻撃とは関係なく服を脱がされる(=安直にポルノ化する)のが普通のことになってる(むしろ古来から様式化してる)中で、最後まで主人公女性が長袖ロングスカートを剥がれないのがとてもちゃんとしてると思った。

女性映画だから、とか以前に「服を脱がすことは冷静に考えたら恐怖演出としても逆効果なんじゃ?」と思ってた。

女性が日常で感じている恐怖の誇張。
『ラストナイト・イン・ソーホー』を観た時、そういうフィクショナルな恐怖に置き換えるのは違うんじゃない…?(恐怖の矮小化じゃない?)と思ってモヤモヤしたが、この『MEN』という映画では現実の人間とシームレスな悪夢、ということになっているのでこちらの方が良いと思った。

ラストのこれみよがしのグロCGは「生殖」それ自体への忌避感を誇張していると解釈した。「穢れ(ケガレ)」の具現化という感じで、面白い悪夢だった。

正直、男たちが同じ顔なのは2回目ゆっくり確認してやっとわかった。1回目はあんまりそこに違和感を持て(るほど、男性キャラたちに興味を持て)なかった!

同じ顔の男たちがのっぺらぼうの怪談みたいにいっぱいいる、というのはそんなに怖いことなのか?夫の死に方や死ぬ前のモラハラっぷり、最初に屋敷を案内してくれるアイツの紳士ぶった有害性など、「同じ顔」と関係ない部分が面白かった。

トンネルの暗闇と音の反響を使ったシーンは男性性というテーマと関係なく王道に怖い!