なつかし二番館

不思議の国の数学者のなつかし二番館のレビュー・感想・評価

不思議の国の数学者(2022年製作の映画)
3.7
何でも韓国一番が入っているけど,コネが横行する韓国社会で,少しでも上昇するには学歴が必要で,それには金がかかり,結局貧乏人はいつまでも貧乏という現実屋脱北者差別は描かれている。

さて映画で描かれた韓国社会から少し離れると,
入試で一番差がつくのは数学。これは世界共通。そして,貧乏でも時間と才能があればなんとかなるのが数学だった。これは高校生側の真実。他方,数学者にとっては,解けない問題を考えるのが楽しくてやっていて,実用性さえ考えないことも多い。普通の学者はその中間。

日本でも40年前くらいまでは,金もコネもなく,時間はあるが金がないという程度の貧乏な子弟は,学歴をあげるしか方法もないし,そうやって始めたにせよ,純粋に社会や理科が楽しくて始めたにせよ,一番安上がりで,楽しいことは,勉強だった。そういう人が周りにたくさんいたから,元から才能にもカネにも恵まれた人は世界レベルまで到達した。その後学費値上げ,留学生〇倍増計画で留学生受け入れ優先の中で,大学の研究条件は悪化していき,その中で日本人学生にしわ寄せが行く。入試突破に予備校必須になり,その費用や高い授業料の元を取るという発想になる。勉強を続けていたら日本国内で留学生に押し出されるから,アメリカに行けば学位が出た昔のように留学優先時代に戻ったが,こうなるともちろん貧乏学生とは無縁の世界である。
今貧乏学生はとにかく早く資格の必要な専門職か,最低でも正規社員に就職することを考えるし,昔よりコネが効かなくなった,そして給料が低く仕事がきつくなってなり手がいなくなった,公務員や高校以下の教員採用試験を受ける。