Yui

イル・ポスティーノのYuiのネタバレレビュー・内容・結末

イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

イタリアの島の美しさ、雰囲気がとても素敵で、淡々としているけどユーモアもあり、とても浸れる映画。

マリオ役のマッシモ・トロイージが心臓病を抱えながらも撮影し、クランクアップ直後に亡くなったと知っていて鑑賞したので、内容とリンクして胸がいっぱいになりました。
彼の残した言葉や、作品に対する思いが検索すると出てくるので、鑑賞した際には是非調べて欲しい。熱い思いに涙せずにはいられません。


共産主義者でチリから南イタリアに亡命してきた、実在した有名な詩人パブロと、彼専用の郵便配達の仕事を始めたマリオとの交流を描いた史実に基づいた作品。


マリオの素直さが可愛くて可愛くて…。
詩に興味を持ち、パブロに質問をした事をきっかけに、徐々に親しくなって行く感じが微笑ましくてたまらなかった。
無学なマリオだけど、持ち前の素直さや素朴さの中に、聡明さがあったから、パブロも奥さんも惹かれたんだろうなと思います。マリオに惹かれるのがとても分かります。私もとても惹かれてしまった。
「世界全体は何らかの隠喩になっているのですか?」が深かったなぁ。

ゆったりした時間や景色の中で、一つ一つの言葉がひらひらと心に落ちて来るような、本当に素敵な作品だったなぁ。自然や言葉や芸術がどれだけ人の心や人生に刺激や喜びや移ろいをもたらしてくれる事か。

一人の男性が命懸けで残したかったもの、と考えても心に残る作品。素晴らしかったです。


2021-106
Yui

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