ツクヨミ

ある惑星の散文のツクヨミのレビュー・感想・評価

ある惑星の散文(2018年製作の映画)
2.6
言いようのない独特な雰囲気に包まれる停滞した2人の日々。
映画監督の彼氏を待ちながら脚本家を目指し一人暮らしを続けるルイ、舞台俳優を休職中の芽衣子、2人はゆったりとした時間を過ごしていく…
人生の小さな岐路に悩む女性を描くドラマ作品。"偶然と想像"で濱口竜介監督の助監督を務めた深田隆之監督の初監督作品が劇場公開、なかなか独特の雰囲気と余韻が忘れられない不可思議な映画体験を感じられた。
まずオープニング、舟が並ぶ港をゆっくりドリー撮影したような横スクロール映像から映画はスタートする。そこに謎めいた詩のようなナレーションと幾何学的な電子音によるBGMが付随すると、なんとも不思議な雰囲気を醸し出していくのが妙に心地いい。
そして本編の物語は脚本家を目指すルイ.舞台俳優を休職中の芽衣子の2人の物語をゆっくりしたクロスカッティングで描き出していく。2人は近辺に住んでおり、同じ大学の出身という設定からたまたま道端で出会ったりすると少し会釈するという小さな関係性がなかなか面白い。2人の関係の相互作用がストーリーに影響するかというのはなんとも言えないが、2人の個別のストーリーのほうが重視されていると言うべきか。
まあ今作言っちゃあなんだが、なかなかに主軸の物語というか監督の言いたいことがわからない映画かなと感じた。主人公である2人の女性の個別の話を日常的なタッチでフランクに描き出すが、びっくりするほど話に進展がないぐらい停滞した時間をのんびり過ごしていく展開がまあ独特。そこに謎めいた詩のようなセリフやナレーションが挟まり難解な要素もあり。本当に見る人によっていろんな解釈ができそうな映画、だが独特の雰囲気とスタイルは個人的にわりかし好きかもなーなんて感じたりもした。
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