べるーし

グッバイ・クルエル・ワールドのべるーしのレビュー・感想・評価

3.3
前半はタランティーノで後半は北野武

予め申し上げると嫌いになれない映画であるものの残念な点が多い分批判もやや多いレビューになります。良く言うと深夜眠れない時に観たくなる系。

と、ほかにも石井隆や阪本順治など見るからに90年代の映画をパク…リスペクトした要素の多い映画なのは分かる。これが多分最大の売りなんでしょうけど、ダダ滑りしてる印象しか受けなかった。特にタランティーノっぽさ、序盤は雰囲気や会話が完全レザボアなんですがやっぱりただ上部っ面を真似ただけであんまり面白味がない。

それにタラによるモタモタなテンポは会話の面白さと役者の息が合ってるからだけでなく、無駄な間を編集で削ぎ落としてるから成り立ってるワケで、当初のパルプフィクションはそれがない為に完成版が嘘の様な悪い意味でローテンポな映画になる筈だったという逸話がありますが、今作はそれみたく切るべき部分を全く切らずに残してあるのが映画的にも宜しくないよなあと。兎に角編集の出来が悪いと思う。あとカメラも役者の顔に寄った画が多すぎ…

会話がそこまで面白くなくキャラの悪人ぶりも斎藤工以外描かれず、悪人だらけなのは良いけど大体にその説得力がないからか、こいつは死んだ方がええ!という気持ちにもならないのは痛い。弾着描写がチープ過ぎるのも同じく…散弾銃で撃たれてあんなショボい損傷は有り得ん…

でも昨今の邦画にしては脇まで悪人だらけで暴力シーンもかなり痛々しいしそれが後半特に満載であるから、そのおかげでこの評価になったかなあと。流石にガラスのアレは痛い。

あと、若手以外の役者さんは全員闇を抱えながらも悪い意味で真っ直ぐであるのが分かる演技で良かった。そのチューニングは合ってるやん!と思いつつwww それに反して若手の二人(名前忘れた)はありがちなビジュアルと演技でかなりマイナス…彼らはジメッとしてるのに不釣り合いな(かつ悪い意味で)ポップさがダサいし無個性さすら感じる。何と言いますか、良い悪いが交互してるなあと、全体的に。

若干ネタバレですが、ラストシーンは完全に北野映画ww ただ模倣じゃないながらジジ臭く仕上がってるのが良かったのでラストシーンで色々満足は出来ました。全く爽快感ないのが好みというのもあるからなのかも。しかしながら、未だに狂ったVシネマ風味の前衛ヤクザ映画を撮れる三池崇史って凄いんやなあと改めて実感してしまわないでもない。そしてやっぱり石井隆のGONINも偉大な大傑作だった。

てかさあ…そう考えるとこの映画、ポップな銃撃戦エンターテイメントではなくない……???
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