福福吉吉

シャイロックの子供たちの福福吉吉のレビュー・感想・評価

シャイロックの子供たち(2023年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
東京第一銀行長原支店で100万円の現金紛失事件が発生し、行員の北川(上戸彩)が濡れ衣を着せられたことから、上司の西木(阿部サダヲ)はその真相を探るべく調査を始める。

◆感想◆
銀行で発生した現金紛失事件から巨大な不正融資の実態が明らかになっていく群像劇となっており、銀行内部の営業活動の苦労や行員のそれぞれが抱える事情の重みがとてもリアルで、それでいてストーリーとしては痛快さを感じさせるものがあって観終わってスカッとできる作品だと思いました。

ストーリーの起点として、行員の滝野(佐藤隆太)が不動産会社の石本(橋爪功)から10億円の架空融資を迫られたことがあり、そこから滝野だけでなく、銀行全体の問題へと発展していく流れは多くの登場人物が絡みながらも分かりやすく、西木が中心となって真相を暴いていく展開はとても痛快で面白かったです。西木は課長代理で頼りなさげな感じでしたが、部下の北川の濡れ衣については毅然とした態度で彼女を守っており、一貫性のないキャラクターに感じましたが、ストーリー後半の西木とその飲み友達の沢崎(柄本明)のコンビの行動は面白さが際立っていて良かったと思います。

そして、本作では銀行で不正にお金を使った者が行員としての資格を喪失していく様子を描いており、それぞれの顛末が人としての在り方を問うストーリーになっていました。贖罪する者、しない者の姿をもって本作は終わるのですが、とても印象的で良かったと思います。

とても面白い作品でした。法律にのっとった形ではない終わり方なので賛否が分かれると思いますが、フィクションのエンターテインメント作品として私は好きです。

鑑賞日:2025年4月10日
鑑賞方法:CS 日本映画専門チャンネル
(録画日:2024年6月2日)
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