さすらいのエマノン

神は見返りを求めるのさすらいのエマノンのレビュー・感想・評価

神は見返りを求める(2022年製作の映画)
3.0


塚口サンサン劇場にて鑑賞。『純喫茶磯辺』や『さんかく』等で瑞々しい演出をしておられた吉田恵輔監督の最新作だと云うことで鑑賞しましたが、YouTuber達の作成する動画や、所々にインサートされるお色気ショットなどに陳腐さを覚え鼻白みました。ムロツヨシさん演じる田母神の行動原理が曖昧で、エキセントリック過ぎて全く共感出来ませんでした。心の優しい普通の中年男性がなにかの出来事をきっかけにストーカーに豹変する薄気味悪さを描きたかったのでしょうが、手垢の付いたモチーフで目新しさは感じませんでした。岸井ゆきのさん演じるストーカーをされる側のゆりちゃんも、ストーカー防止法について動画の中で説明しながら、一切、警察に相談をしなかったのはわけが分かりませんでした。相談した上でお話が転がっていくのであれば、まだ鑑賞に耐えれたのですが全くしない。なぜ? としか思えませんでした。ムロさんの怪演と、岸井ゆきのさんの体当たりアクトは素晴らしかったので★ひとつオマケしました。脇を固める演者さん達が自分には知らない人ばかりで、画角も狭く、低予算で作られた映画だと感じました。ミニシアター向け邦画の凋落は、サブスクや、人気マンガのアニメ化作品や、人気マンガのブロックバスター方式の実写大作、コロナの影響など様々な要因が考えられますが、一抹の寂寥感を覚えました。ミニシアター向け邦画よ。もっと頑張ってくださいね!