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シスター 夏のわかれ道のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

シスター 夏のわかれ道(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

昨日観た『母性』の中で「女性には2種類いる。母と娘」という台詞があった。確かにあの映画を観ればそのような気もするが、現実はそんなに単純ではない。そんな現実の厳しさを本作から強く感じた。

本作を家父長主義や父権主義に対するアンチテーゼだという捉えることもできるが、わたしには全く別のテーマをも扱っているように見えた。

誰かを愛し、誰かを愛したい。人の中に本能的に備わっている、あるいは無意識のうちに育まれていくこの感覚を子どもの頃に得られることのできなかった者たちの物語。そう捉えると、本作の結末が予定調和の良い話ではなく、別のものに見えてくる気がする。

姉は最後、弟から愛されていることに気がついた。そして、弟を愛することを自ら決断した。そうすること無しでは、彼女自身、自分の人生を歩んでいる気がしなかったのだろう。

家父長主義うんぬんは、自分が男性であるために、主人公の気持ちを完全に理解することはできない。しかし、このように親子あるいは個人の問題から本作を観れば、共感する部分も多い。

この姉弟がこれから幸せな人生を送ることを願ってやまない。
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