ヒノモト

夜を走るのヒノモトのレビュー・感想・評価

夜を走る(2021年製作の映画)
3.6
「教誨師」の佐向大監督の最新作。
予告編の段階で期待かけすぎたでしょうか。
おそらく描かれているであろう社会のシステムにおける理不尽さというか、厄介者扱いされて、まるで存在していないかのように生きる主人公と、もう一人の社会の中でそれなりの幸せと欲望の中で生きている2人の中年男性の共鳴のようなものかと思われるのですが、自分の中でも消化しきれないほどに、エキセントリックな後半部分の展開から、ちょっと歩み寄ろうとすることも拒まれた感じがしてしまいました。

思った以上に登場人物が多くて、名前と顔が一致しない段階で「○○さんが〜」みたいな不確かな噂話やらエピソードやらが盛り込まれるところが、結構序盤にあって、ちょいちょい思考停止してました。

失礼ながら初見の俳優さんが大半だったので、印象が付くまでに情報が整理しきれないうちに物語が進行していた感じがありました。

理解が追いつくころには物語が中盤に差し掛かってたのですが、そこで主人公に対してとある描写があって、そこから物語が暴走し始めるのですが、それを社会のバランスの乱れと捉えるのか、救済の一端と捉えるのか、不確かな切り取られ方をするため、結末として提示されたものもモヤッとした感覚で捉えどころが分からなかったです。

ざっくり、物語の起点としてのとある隠し事が発覚したことによる日常の破壊に対する答えとして、本人の不在なのか、妄想なのか、自作自演なのか、曖昧にしている不気味さだけは残りました。

松重豊さんと宇野祥平さんが登場した時の映像の安心感は果てしなかったです。
ヒノモト

ヒノモト