さすらいのエマノン

さかなのこのさすらいのエマノンのレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
4.3
のんさんは世に出た時から『さかなのこ』である。あの伝説のスクリューボールコメディ『あまちゃん』で海女の役を演じていたからだ。紆余曲折を経て本作品でアクトを魅せてくれるが、素晴らしいの一言である。コメディエンヌとしての能力を存分に発揮してくれている。彼女の魅力を理解している沖田修一監督に感謝感激である。
魚類学者のさかなクンさんの半生を描くという体を取ってはいるが少し、別物である。第一に性別が違うw
どことなくシュールでファンタスティックな展開は、『あまちゃん』と世界線を共有しているのだと感じると合点が行く。兎に角、ヘンテコなお話しなのだ。
潤沢なバジェットをふんだんに使ったおかげで広い画角、沢山の躍動するモブ、豊富なロケーションの中で、のんさんの魅力が発揮されている。推しである自分からしたら夢のような映像体験であった。
脇を固める俳優陣も良い。柳楽優弥さん、井川遥さん、磯村勇斗さん、夏帆さん、岡山天音さん等。そして、不思議な存在感を放つ、何処かバチくさい歯医者さん役を演じるのが豊原功補さん。この方は韓国映画『ただ悪より救いたまえ』で『イカゲーム』で主演していたイ・ジョンジェのお兄さんをチョイ役で演じられていた方だ。やっぱオーラが出てる。もちろん、さかなクンさんも出てくる。他の脇を固める俳優陣も総じて面魂が良い。これは収穫であった。もっと彼らの活躍が観たいと思った。いささか冗漫な処があり、その点が惜しく、世界に訴求するバワーが、やや不足気味ではあると感じたが、逸品ではあると思う。おすすめ!