「理想の世界」を描こうとしているんだと思った。
つくづく思うのは、子どもは地域が育てるってこと。社会性と無縁でいられるのは子どもの頃だけ。社会を意識しだしたとき、本来あった無限の可能性に蓋がされてしまう世の中は、もったいないと思う。
"普通"からは明らかにはずれた主人公。そのことと社会との軋轢は最後まで描かれ続けるんだけど、物語の流れに変化はもたらされない。主人公は最初から最後まで魚が好きという一点だけしかなく、そこは妥協しない。そのままの姿でありながら成長、成功する。そこに魅力とメッセージがある。
作品としては存外丁寧に作られていて、言葉で語られないところに情緒がある。水平移動で時間経過を示すシーンとか、夏帆の変化とか。
ただ、物語としては意外性があるわけでもなく、139分は長く感じる。帰結するところはだいたい見えているだけに、中盤のミー坊が社会に適応できないことを示す描写は特に長く感じてしまった。
冒頭にデカデカと映る「男か女かはどっちでもいい」にしても「普通って何?」にしても蛇足な気が。。見ていれば自然とそう思えるからね。。