あられ

アニタのあられのネタバレレビュー・内容・結末

アニタ(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

私がアニタ・ムイについて知っていたことは、ジャッキー・チェンの ”酔拳2” ”ミラクル” ”レッド・ブロンクス” に出てる演技派コメディ女優で、他にも多数の映画に出演しており、演技がとても魅力的で素敵だったこと。そして、時期は中森明菜さんと被ってたけど、近藤真彦さんと付き合っていたこと。なので、特に近藤真彦さんとのラブストーリーを見るのを楽しみにしてました😆


2003年12月30日に子宮頸癌のため40歳で亡くなったアニタ・ムイは、香港の大御所シンガーでした。貧しい母子家庭のアニタは、6歳(1969年)の時にはすでに姉と一緒にナイトクラブやホールみたいな所で歌っており、暮らしを立てていました。1982年、アニタが19歳の時、“新人歌手コンクール” に出場して優勝し、底辺層から一気にスーパースターの道を歩んでいくことに…。


香港の音楽業界のことは全く知らなかったので、当時の香港での日本の歌謡界へのただならぬリスペクトに驚きました。作品の中では、話題としても舞台としても、日本のシーンが意外と多く、香港の日本愛を感じてなんだか嬉しくなりました。アニタは中森明菜さんと西城秀樹さんのファンだったようで、第12回東京音楽祭に参加することが決まった時は、「西城秀樹に会える」ってめっちゃ喜んでましたね。

1960、70年代の香港では日本語の歌が歌えることがステータスらしく、ナイトクラブでは、坂本九さんの “上を向いて歩こう” やGメン‘75の “面影” やテレサ・テンさんの “つぐない” が日本語で歌われてました。また1980年代以降になると、日本の曲を広東語でカバーする曲がヒットしはじめ、今作中でもアニタは近藤真彦さんの ”夕焼けの歌”、アニタの大親友のレスリー・チャンは彼の大ヒット曲になった吉川晃司さんの ”モニカ” の広東語カバー曲を披露してくれます。

さて、肝心の近藤真彦さんとのラブロマンスですが、彼は作中ではただ1人実名ではなく後藤夕輝として登場してますw 香港で出会って意気投合。東京では麻布十番の家で、甘くてラブラブな日を一緒に過ごす2人。アニタは後藤に手作り料理を振る舞ったり(料理は得意ではなさそうですがw)、ギターケースのほころびを縫ったり。後藤は “香港の山口百恵” と言われているアニタに、山口百恵さんのサイン入りLPレコードをプレゼントしたり、2人で伊豆の新井旅館にお泊まりしたりとなかなかいい雰囲気に描かれてました。バックミュージックに、なぜか郷ひろみさんの ”ヒストリー” が流れているのだけは、めっちゃ気になりましたがw

後藤の事務所社長役として大御所・岩城滉一さんが登場(ヤクザの親分みたいだったw)し、密会中の新井旅館に乗り込んできて、2人を別れさせようと躍起になってるシーンでは、後藤がアニタを匿って土下座して謝り、アニタは後藤のために身を引くみたいな切ないラブストーリーに仕上がってました。近藤真彦さんの二股三股交際のことは、やっぱり映画で出すわけにはいかないですねww

アニタが死ぬ間際、2003年の7月(近藤真彦さんの誕生日)に、もう結婚している後藤夕輝と、想い出の新井旅館で 、17年3ヶ月と20日ぶりに再会するシーンも良かったです。 結ばれなかったけどお互い大事に思ってたんですね。近藤真彦さんが女性にモテるのがわかったような気がしました😆

劇中では、アニタが最優秀主演女優賞を受賞した映画 “ルージュ” の撮影シーンもあって、相手役にレスリー・チャンを指名したエピソードも紹介されてます。

カラオケ店でマフィアとトラブルを起こし、アニタが恋人のベン・ラム(アクション俳優)とタイに逃避行するエピソードがありましたが、香港芸能界と黒社会との深い繋がりや恐ろしさを改めて痛感しました。

アニタがなくなる9ヶ月前の2003年4月1日に、レスリー・チャンが自殺する一連の出来事も丁寧に描かれ、2人は大切な友人だったことを実感させられ悲しかったです。アニタの病気のこと、レスリーが悩んでいたことを、お互いが相手を心配させないように内緒にすると言う気配りは、悲しくて辛いだけでした😭

ラストはアニタの最後のコンサート。ステージ、音楽、ファンと結婚したいとウエディングドレスで登場し、締めは愛する近藤真彦さんの広東語カバー曲 ”夕陽之歌” で。アニタ(本人映像)の最期の言葉「バイバイ」はめちゃくちゃ元気で明るくて、涙を誘わずにはいられませんでした😭

映画を見終わって、加入しているアップルミュージックでアニタ・ムイの曲を聴きました。彼女のまろやかで美しい歌声は、本当に魅了されますね。山口百恵さんの ”赤い衝撃” ”曼珠沙華” “ロックンロール・ウィドウ” などの広東語カバー曲は、本家の百恵さんより情緒たっぷりに歌い上げてました😊
あられ

あられ