まぬままおま

ニヒルのまぬままおまのレビュー・感想・評価

ニヒル(2021年製作の映画)
2.5
「みられることによって他人に規定されてしまう、他人の物になってしまう」
「自由を脅かすのは他人の眼差しだと」
そう神的な視点であるナレーションで述べる彼女は、実存主義者のサルトルを敬愛している。
その志向ゆえなのか、数学教師に不当な成績をつけられることで規定され、自由を脅かされた過去に怒る。

だが彼女は現実に対する個人の主体的な参加=アンガジュマンには向かわず、水切りという虚しさ=ニヒルに行き着いてしまう。
このように実存主義を志向することと実存主義に生きることは当たり前のように一致しない。

私は実存についてサルトルではなく、レヴィナスのように考えたい。
ならば彼女のニヒルの果てでうごめく、実存者から剥ぎ取られた実存を見出したいと思うのである。しかしそのためにはナレーションではなくイメージを、昼ではなく夜を待たなくてはいけない。