てる

劇場版 舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-のてるのレビュー・感想・評価

4.1
面白かった。
冬の陣が滅茶苦茶お気に入りなので、今回は果たしてどうかとおもいきや、さすが、中々どうして面白い。
内容としては冬の陣の方が好みではある。若干複雑だったし、色々な人の思惑が交錯していた。刀剣男子の話しも濃密で面白かった。しかし、その一方で肝心の冬の陣がおざなりだった。あまり合戦をしているようには見えなかった。今回はどちらかというと、そっちに重きを置いている。史実には存在しない真田十勇士と、終わりゆく豊臣の物語を大事にしているように見えた。今回の主役はそちら側だろう。泣けたシーンもどちらかというとそっちの方だ。豊臣の最後に、天下人たらんとした秀頼の最後に涙。豊臣を築き、豊臣を支えた高台院の想いに涙。豊臣の配下として、武士として死ぬことに拘った十勇士の面々に涙。
虚構の英雄を天下五剣の三日月宗近が切るというのは良いシナリオだなぁと思う。そこのシーンだけ観ると三日月が恐ろしい悪魔のような存在に見える。争いではどちらが正義とかないが、殺しあいとはそういうものだよね。観客はどっちに肩入れするかそれだけだよね。
一度仲良くなった男たちが殺し合うって中々辛いよね。忠義とか信念とか本能とか諸々理由はあるものの、それを割りきって切り合えるってのはすごい覚悟だ。十勇士の生き様と、刀剣男子たちの想いに胸が打たれました。
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