葛

不知火檢校の葛のネタバレレビュー・内容・結末

不知火檢校(1960年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

生れつき盲の主人公杉の市が盗み、犯し、騙し、あん摩の治療の仕事で隙を突いて殺しまくるが、口の巧さ頭の回転の異常な早さだけでその罪全てから逃れ続ける。
頭の弱い幼馴染の事も少年時代から使用人の様に使い走り続け、師匠まで殺してその不知火検校の位を簒奪する主人公杉の市には人間として何一つ良い所が無い。にも関わらずこの映画がこれほどに面白いのはこの杉の市のキャラクターの圧倒的な存在感。計略がバレそうになって追手から全速力で逃げる際の手と首を突き出しながら走る様など動作の全てに心打たれる力がある。
演じるは勝新太郎。名優ここにあり。
積み上げられた罪業が永久に続く筈も無く、91分でこのピカレスクは終る。
葛