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夢のyaaaのレビュー・感想・評価

(1990年製作の映画)
4.0
「T」を「てえ」いやいや「てー」と発音する昭和の感覚からなのか、
スチーブン・スピルバーグ。
アンブリン・エンターテーメント。
マーチン・スコセッシ。
と堂々と表記できるところからして巨匠の風格。

眠たいとかボロクソ言われがちですが、劇映画ではなく黒澤明のPV集としてみればこれほど豪華な映像はあまり他では観られない。
霧や小雨の特機、照明の当て具合なんて絶品。
内容も常人の感覚を突き抜けて、腹切り用のドスを渡される少年、突然森の中で白塗りの集団にディスられる、登山のアタック隊の描写が上質のゾンビ描写、と思ったらゾンビの大行進、ギトギトの原色の中の散歩、「ゴジラ」を凌ぐモブシーン、荒れ地に巨大なタンポポの現代アート感、ええ話するなと思ったら踊りながら葬式へ。
とリトル黒澤から偽ヤング黒澤を主人公に描かれる「夢」から「怪談」へタイトル変更したらいいようなぶっとび話。そのおかしなところこそ夢なのか。
自主映画みたいな内容にワーナーが14憶も出して、ILMももれなくついてくるって黒澤明にしかできない偉業。
ゴッホ役に外国有名俳優をもってくるというのはわかるが、そこをさらに捻ってマニアックな映画監督をもってくるところがセンス爆発。

ミケランジェロ・アントニオーニやフェデリコ・フェリーニも芸術と言う名の突き抜けた「へんな」作品撮るが、本作もその一つ。
こんな凄いことだらけの作品は楽しまないと損する。

クライテリオン版はやっぱりさすがやなと思うのがワーナー版でなくて日本語のエンドロールのある日本版の収録。
しかしも「夢」より長い大林監督の「映画の肖像」もあり。これは別に書きたいぐらいおもしろい。
「グッドフェローズ」を暴力団の映画という野上さんのインタビューも貫禄十分。
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