ケイスケ

ザリガニの鳴くところのケイスケのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
3.8
邦題とポスタービジュアルがツボだったので鑑賞。原作は全世界1500万突破で2019、2020年アメリカで最も売れた本らしいです。すごっ!ちなみにタイトルが『ひぐらしのなく頃に』に似てるから『ザリガニのなく頃に』ってチケット買いそうになった😣笑。

6歳のときに両親に捨てられた少女カイア。ザリガニが鳴くといわれるアメリカ・ノースカロライナ州の湿地帯でたった一人で育ち、自然から生きる術を学んだのだった。ある日、その湿地帯で青年の変死体が発見され、カイアに殺人の容疑がかけられる。そして、法廷に立った彼女の口から語られたのは、想像を絶する半生だった。

本作は“湿地の娘”と呼ばれた世捨て人カイアの回想パートと、彼女が容疑をかけられた殺人事件の法廷パートが交わり話が進んでいきます。このカイアの回想パートは、子どもの頃の暮らしがかなりハードでとにかく可哀想でした。特に学校のシーンがかなりキツい。

本作はそんな彼女に向けられた偏見や性差別が話の肝となってきます。そして一人の少女が様々な男性と出会い成長していく物語です。ジャンルはミステリーになっていますが、どんでん返しや誰が犯人かを当てるような内容ではありません。予告では法廷ミステリー要素を押している感じですね。

まず舞台が湿地というのが非常に珍しい。ここに一人で暮らしているカイアを演じたデイジー・エドガー=ジョーンズが素晴らしいですね。彼女の家族が散り散りになっていく様子は何か湿地の生き物と照らし合わせているのかな。これだけ子ども時代から過酷な運命を背負わされる主人公は近年の映画では珍しいかも。

前述しましたが本作は偏見と差別を描いています。カイアの弁護士が陪審員に語りかけるシーンがありますが、まさに観客=陪審員に当てはめられ指摘されているような感覚になりましたね。女性が観たら、男の自分よりもカイアに感情移入できるんじゃないかな。全編通して人物や舞台描写が非常に丁寧で交換が持てましたね。面白かった!