くう

ザリガニの鳴くところのくうのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.2
「孤独に生きることと怯えて生きることは違う」「母が出て行った意味がやっと分かった」


6歳からたった一人で沼地で生きてきた少女。手を差し伸べる人は少なく、孤独から救ってくれると思った男たちは去って行く。


それでも生きていけたのは、沼地の生物たちを愛しみ、思い出を愛しむ気持ちがあったから。


それは貧しくても自由を手にしていたということで、何かに押し付けられた不安や不自由は許せなかった。


ミステリーではあるけれど、カイアという少女の成長物語であり、法律がいい加減すぎる時代の法廷劇であり、少ない関係の中で愛を求める人間物語だった。


ラストは決して意外ではなかった。ヒントは生態の中に散りばめられている。そして、すごく納得できた。当然のことであり、やるべきこと。


暴力と孤独の思い出の中にあった湿地は美しく、カイアそのものを映し出しているようだった。


今年観た映画の中で一番抱きしめてあげたい少女。
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