次男

ザリガニの鳴くところの次男のネタバレレビュー・内容・結末

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

テイトとチェイスの対照性が際立つ描き方が見事。出会の日彼らはどんな行動をとったか?衝動性か愛か、与えたネックレスか贈りあう羽か。時系列を追いながら、各場面をもう一度振り返るとまだまだ発見できることが多そう。
また劇中、自然には善悪がないという言葉がでてくるが、人は知らず知らずのうちに本能にのまれ、悪とされる行動をとることがある。一方で行動を悔い、許すことができるのも人である。テイトや母親、ジュディ、そして父親さえもそれができた時があった。カイアは生物学の知見や自身の経験を通してそのことを理解するのである。
カイアは湿地とともに生きる中で、道徳と自然の摂理との境界を生きる存在となった。脅威は排除すべきという、法や道徳を越えた価値基準で生きること。それを彼女が許されたのは、長年自然の摂理の中で生命力をたぎらせつつ、絶えず観察し学び、人を愛し愛された経験ゆえのことであろう。自然は癒しとして期待され消費されるだけのものではない。時には厳しく容赦のないものだ。そういう意味では、ミルトン弁護士は彼女に対して、世間とは真逆の偏見を持った1人だったのかもしれない。
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