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ザリガニの鳴くところの一人旅のレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.0
オリビア・ニューマン監督作。

アメリカの女性作家ディーリア・オーウェンズによる2018年発表の同名ベストセラー小説の映画化で、製作に女優のリース・ウィザースプーンが名を連ね、演出を女性監督のオリビア・ニューマンが務めています。

1969年、米ノースカロライナ州の湿地帯で地元青年の変死体が発見される事件が発生、6歳の時に一家離散となり湿地帯でたった一人で生きてきた若きヒロイン:カイア(デイジー・エドガー・ジョーンズ)は青年殺害の容疑者として起訴されてしまうが…という“法廷+殺人ミステリー”で、ノースカロライナの広大な湿地帯で自給自足の生活を送ってきたヒロインの波乱に満ちた生い立ちと淡い初恋を回想形式で紐解いていきながら、現在の湿地帯で起きた変死事件の真相に迫っていきます。

“湿地の娘”と蔑まされて生きてきたヒロインにかかった青年殺害の嫌疑を巡る裁判のゆくえを、不遇の出自のヒロインに対する地元住民の偏見と差別の実情を背景に描き出した法廷ミステリーで、様々な生物が棲むカロライナ湿地帯の独特の景観が美しく印象的に映し出されていますし、そうした湿地帯が孕む多様性と、自分たちが理解できない者に対する地元の人々の不寛容が対比的に映し出されています。
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