このレビューはネタバレを含みます
原作未読。
なかなか由々しき問題作。
魂の芝居が出来るこの布陣でなければ、ここまでのリアリティと重さは出せなかっただろう。
序盤いきなり登場した綾戸智絵婆さんに面食らった。
アーティストの多彩さに唸らざるを得なかった。
オープニング、スクリーンに表れた聖書の一文。
そしてエンドロールで流れた森山直太朗『♪さもありなん』
すべて観終わったとき、初めから最後まで問いかけられてたんだなと思えた。
是か非か、善か悪か、基準は当事者の想い一つでしかない。
観る側がもし斯波と同じ立場だったとしても、共感も評価もハッキリ二分されることだろう。
後半、斯波の白髪の理由がわかってからは色々辛すぎて涙止まらず。
そして、真の主役は柄本明氏だった気もした。
相変わらず怪物。
介護に携わってはいないが、自身の環境に置き換えてみると穴に落ちてしまった斯波の気持ちは正直理解出来るし、行間で考えさせられる部分も多々あった。
だからといって、罪は罪にしかなり得ない。
『安全地帯』
『絆は呪縛』
そんなワードが最後まで耳に残った本作。
ただ、大友に気持ちが寄り添えなかったのは本音。