ふじこ

ハウ・ワズ・ユア・デイのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ハウ・ワズ・ユア・デイ(2015年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

明るく、楽しげに出産の日を待ち侘びていたのに生まれた子は脳に出血があって健常児ではなかった。
そこから母親と子の2人を描く。


う~む…わたしは子供がいないのだけれど、高齢出産っぽいこの主人公は、まさに高齢出産・不妊治療などをした人が陥りやすいパーフェクトチャイルド症候群かなぁと思っていた。
彼女の場合はなんの問題もないと思っていた妊娠生活や想像上の子育て生活が一発で逆転してしまった事に頭も気持ちもついて行かず、目の前の子が自分の子供であると認められないまま、海に捨てるという暴挙に出る。
まだ赤ん坊の時から、何度も階段を転がるぬいぐるみのシーンって、あれは赤ちゃんを落とすシミュレートでもしていたんだろうか。

観ている限り、"子供が障害児/妻が病気になると離婚を選択する率が非常に高い"とされる男性である夫は献身的に娘の面倒をみている。むしろほとんど何もせずにぼ~っとしている妻の代わりに夜泣きの相手やおしめ交換や仕事に行く前にもしっかり相手をしている。
なんだか観ていて段々腹が立ってくる話だった。

誰もが健康で生まれる事を祈るだろうけれど実際はそうじゃないし、なんなら現代だってお産で亡くなる母親もいる。
健康に生まれたとしてもその後の病気や事故で障害を抱える事だってあるだろうし、子供だって選んで歩行器を使ってる訳じゃないだろうに。
ほんとに、やったぁ健康で生まれた~!っつって冒頭のウキウキ気分のまま事故に遭って同じ状況になってたとしたら、どうしたんだろう。それとは別なのかな?もう、お花畑が過ぎない?って気持ちで観てた。夫は現実を受け入れているのに。

子供が成長して、2歳かそれくらいになっても一切声を掛けないし遊んであげもしない。
自分の気持ちしか考えてない。メンタル病院行けよ。誰が可哀想って子供が一番可哀想だろが。

冬の海にベビーカーで連れ出して、海まで押し込んで走って逃げ車で泣いていると、擦れ違った釣りをしていたお爺さんが娘を回収して車に乗せてくれる。
信じられないものを見る目でこちらを見る爺さんに何も言わず車を走らせる。
爺さんが…爺さんがここで通報しても良かったんだぞ…!

幼稚園に誰よりも遅く迎えに行った際、あなたのために描いたみたいですよ と2人の人物が描かれた絵を差し出され、娘が"私とママ"と言って歩行器から見上げている。
そのまま立ち去ろうとして、歩行器から抱き上げて"How Was Your Day?"と声を掛けると、"楽しかった"と答える娘にそのまま真顔で"そう、私もよ"と行って歩いていくところで終わり。

ちゃんと受け答え出来てるし、絵も描いてくれるかわいい娘じゃない…。
この最後まで声も掛けない見もしない母親をどう感じていたんだろうなぁ…何度も殺そうとした事は感じ取っていてほしくないけど、それでもママが好きなんだろうなぁって思うと悲しすぎた。

その子の一生を背負う覚悟で挑まなかった末路…って感じ。若くしてどうこうは別として。
ショックを受けるのは分かる。他の子とつい比べてしまうのも分かる。でも大人として親として こんなのわたしの娘じゃないわって目の前から消そうとする以外にする事なかったんかなあ。何を選ぶにしたってもっと早くに楽になれてたかも知れんのに。これも立派な虐待だよ。
良い話、では絶対ない。
ふじこ

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