なお

クリーチャーズ/宇宙から来た食人族のなおのレビュー・感想・評価

3.8
"エイリアンにゾンビ 上等よ"

B級映画好きの友人に誘われ鑑賞。
いわゆる「B級映画」にふだんあまり手を出さない自分だけれど、見聞を広めるという意味も込めて。
そういえば、誰かと映画を見に行くのって約10年ぶりかもしれない。

東京都内では2週間限定での上映、かつ上映回が午前か午後の1回のみと無駄なハードルの高さ。
また、なぜだか知らないがTwitter上では本作の題名が一時トレンドに浮上するなど、謎の盛り上がりを見せていたのも記憶に新しい。

作品の性質上、ある要素を深掘りしたり考察したりするのが難しいので、久しぶりに「評価点」と「問題点」の2点に分けて箇条書きするスタイルで感想をお届けしたい。

✏️評価点
・クリーチャーズたちのかわいらしさ
何よりもまず、本作の主役(?)級、地球を侵略するために訪れた謎の水色エイリアン軍団と、ファービーを彷彿とさせるモフモフエイリアン・通称マンピー(サザンの曲は関係ない)のかわいらしさと活躍が光る作品。

絶妙にチープなCGと実写映像の組み合わせが、「B級映画感」を後押ししてくれる。

当然、アカデミー賞受賞作だとか誰もが知る不朽の名作とかとあえて比較してしまえば、CGの質は足元にも及ばない。
ただ、B級映画の楽しみ方ってそこじゃないよね、ということを改めて再確認。

・日本人参戦
本作を語る上で欠かせない存在。
我ら日本人の代表として本作に参戦してくれた斎藤莉奈さんの演技も光る。
みんな大好きYAKUZAに育てられた日本人留学生・アカネ役を熱演。

公式ホームページによると「噂では1000人規模のオーディションで大役を勝ち取り…」とある。
「噂では」ってなんだ。

・バラエティに富む死に様
宇宙人の脅威に対抗する人類の姿を描くパニックホラー的作品でもある本作は、登場人物たちの死に際も実に様々で目に楽しい。

エイリアンたちの餌食になってゾンビ化すればまだ御の字で、ある人物は口にハリネズミを押し込めて殺され、ある人物はやたらまっすぐ飛ぶスコップで頭を真っ二つにされて殺される。
当シーンに至っても隠しきれないチープさと若干のグロテスク描写が相まって、笑いが漏れること必至。

・(名前だけ見れば)豪華な制作陣
本作の公式ホームページを見ると分かるのだが、やたらに様々な名作に本作の制作スタッフが関わったことを強調している。
『バーフバリ 王の凱旋』『DUNE/デューン 砂の惑星』などの大作から、知名度はそこまでではないが粒ぞろいの作品たちまで。

また、往年の名作映画のオマージュ的シーンも散りばめられているらしい。
まったく気づかなかったけど。

✏️問題点
・一部シーンのテンポの悪さ
こういった低予算映画にありがちなのだが、
・学生同士で罵り合うシーン
・扉の向こうにいる敵に「来るか…?来るか…?」と対峙するシーン
が、尺を稼ぐためなのか異様に長い。

エイリアンたちとの戦闘シーンにおいても、人間をゾンビ化させるエイリアンたちを倒そうとはせず、ひたすらゾンビ化した人間を倒し続けようとする対症療法的戦闘スタイルも人によってはイライラする原因かも。

また基本的にドアを開けては敵を侵入させそれを追い出す→またイベントがあってドアを開けて敵を侵入させ…の繰り返しであるため、若干冗長に映る点も。

・鑑賞ハードルの高さ
物語の本筋とは関係ないが、前述の通り東京都内の劇場においても2週間の限定上映、かつ上映回は1日に1回のみと無駄にハードルが高い。
その劇場も大手シネコン(TOHOシネマズや109シネマズなど)ではないため、ふだん映画を見ない人にとっては気軽に利用しづらいのも足枷となる。

まあ、そもそもふだん映画を見ない人やミニシアターの利用を躊躇するような人は、本作など見ようとも思わないかもしれないが…

☑️まとめ
ALIEN、ZOMBIE、YAKUZA。
みんな大好きB級映画の基本3点セットを詰め込んだ、まさに「B級入門編」にふさわしい作品。
映画館でなく、もしこれを友人宅でお酒でも飲みながら見られたなら、さらに何倍も楽しめただろう。

普通に見られるし、なんなら面白い。
「B級映画ねェ~~~、まあお手並み拝見と行こうじゃないの」と本作に対して居丈高になっていた自分を殴ってやりたい。

何気に続編を期待させるラストシーンや、投げっぱなしになっている伏線の数々もちらほら。
これが狙ったものなのかどうかは知らんけど。

同行した友人によると、
「この映画は全然マシなほう」とのこと。
下には下がいるということか…

たしかに、若干…いやかなり「いやそうはならんだろ」と言いたくなるツッコミどころはあるし荒削りな部分は存在するが、「一本の映画」としては形になっていた。

名作や有名シリーズ作を楽しむ時間もイイけど、たまにはこうやって深淵を覗くのも悪くないな、と感じた。

🎬2022年鑑賞数:76(30)
※カッコ内は劇場鑑賞数

<余談>
いつもの評価が絶対評価制なので、★の付け方が難しい。
あくまで「低予算映画ジャンルの中では」という評価基準で★を付けるか…
なお

なお