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恋する惑星 4Kレストア版のarchのレビュー・感想・評価

恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)
3.8
1966年の4月28日、5月1日に二組の男女が0.1mmの距離に近づき、恋をした。
邦題から連想させる惑星と衛星間の引力を思わせるような恋愛。二部構成である本作は、前後半に共通した部分としてフレームレートを落とした映像を多用したシーンが印象的。とりわけそれらの映像が香港の俗世的な街を切り取るのに相応しく機能している訳だが、そこに加えて前半がモウの激しく移動する様を上記のように撮ることで「追う者」として演出しているのに対し、後半の警官633では、彼ら以外の風景を喧騒として撮る。この違いは前半を公転として後半を自転として、世界観を捉えているようである。そしてその恋が追う/待つの対比にも対応しているのだ。

ウォン・カーウァイの映像感は言うまでもなく素晴らしいが、この2部構成だからこその対比がより上手いこと機能している作品だと改めて実感した。
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