「ウォン・カーウァイ4K 5作品」~その5
苦手なBL系の映画なので、残していたけど、WKW4K、5作品の完走目前だったので、『恋する惑星』の鑑賞後、直ぐに鑑賞しました。この映画は、始めての鑑賞(休憩10分也😹)
そして、完走🎵🎉
(他のWKWも徐々にレビュー、致します🐱)
映画は意外にも、傑作だったので、完走後の達成感が、格別でした🐱🍵
『ブエノスアイレス』(1997) 🇭🇰香港映画
監督・脚本 ウォン・カーウァイ
撮影 クリストファー・ドイル
ブエノスアイレス、という地名を題名にしているように、この映画も都市が主人公のひとりであろう
香港がイギリスから、中国に返還される年、1997年に製作されている
香港から、南米アルゼンチンにやって来た、ファイ(トニー・レオン)とウィン(レスリー・チャン)。根なし草のようなゲイ・カップル
香港に倦怠感と不安を持ち、イグアスの滝を求めてさすらって来た。 既成の西洋文明に猜疑心を覚えて、アフリカの砂漠に片道キップの旅を行った、『シェルタリング・スカイ』のポールとキットのように。更に、官能の奥地を求めるかのように、この『ブエノスアイレス』では、ファイとウィンが同性のカップルに設定している
このカーウァイとドイルによる、芸術的な実験は、画面の艶(つや)や相乗作用において、悉く成功していた様に思える。
南米の殺伐さ、静寂感、イグアスの滝の圧倒的な存在感、行き先の無い寂しさ
その寂しさは映画全体に覆われていて、ほぼ、都市ブエノスアイレスが舞台であるのに、全編がロードムービーのような旅情と流動感に溢れている
タンゴの旋律、様式美、男と男の恋愛、究極、背徳、都市が主人公、と偶然なのか、『ラストタンゴ・イン・パリ』の変奏曲に成っている
パンフレットによると、ウォン・カーウァイは、かなりの日本通であるそうで、
鍛え上げた肉体のファイには、三島由紀夫の面影を見たよ、アルゼンチンに滅びに来たのかなぁ
あと、ファイとレオンの共依存の関係は、『真夜中のカーボーイ』更には、『傷だらけの天使』の兄貴とアキラだよね🐱
二人の男の間に、ノンケなチャン(チャン・チェン)が入ってくる構成も巧みで、さらに差し色として一瞬、チャンの彼女が映るセンスも好きだ。チャンがアルゼンチンの南端に移動する発想は、本能的な脚本で、何故だか嬉しい
それにしても、アルゼンチンの隅々にも中華料理店が入り込んでいて、中華の増殖性の凄さは明らかである
香港、ブエノスアイレスと地球の真裏、天と地がひっくり返る様な描写、返還、正に香港の現実、そして、「覇権主義」では無かった「鄧小平」(とうしょうへい)の死去
世界史の大展開点であろう、1997年の香港に、名手ウォン・カーウァイを配置し、映画か何かの神さまが、記録させたかのような妙味
映画とは、人類の記憶装置である
2022年映画館鑑賞 87本目
2022年鑑賞 124本目
【あとで、推敲します】